教職員の性暴力を生むのは”死角”と”担任制” 1人の小学校教諭から7人が被害…千葉市で有識者会合が提言書
太田理英子 (2021年6月3日付 東京新聞朝刊)
教職員による性暴力の根絶に向け、千葉市教育委員会が設置した有識者会合「子どもへの性暴力防止対策検討会」は2日、未然防止や対応策をまとめた提言書を市教委に提出した。市内の学校で起きた複数のわいせつ事件を分析し、校内での死角ゼロ、被害を訴えやすい環境づくり、初期対応の見直しなどの改善策が盛り込まれた。
担任だけでなく複数教員が関わるように
検討会は、数年にわたり児童7人に性暴力を繰り返したとして、2018年に市立小学校の元教諭の男=強制性交罪などで懲役14年判決が確定=が逮捕された事件を受けて設置。精神科医や弁護士ら6人で構成し、2020年1月から9回の会合で協議を重ねてきた。
検討会は事件を含む過去の市内での教職員によるわいせつ事案を分析。発生要因や課題として、空き教室などの「物理的死角」や1対1の指導が当然視される「心理的死角」、加害者が担任だったことなどによる被害申告のしにくさといった点などを挙げた。
提言書では、校内の死角点検や、担任だけでなく複数の教員が子どもと関わる体制など、性暴力を生まない環境整備が必要と指摘。被害の早期発見のため、相談窓口充実のほか、教員側が子どものSOSに気付くための研修などを求めた。
学校は子どもの安全確保とケアに徹して
被害発見時の役割分担の見直しも強調。学校は被害者の安全確保、被害者を含む子どもらのケアに徹し、市教委や弁護士らでつくる危機対応チームが調査や対応を進める体制を掲げた。
検討会座長で千葉大大学院の後藤弘子教授は、「事案から一人一人が何をすべきか学んでほしいと考えた。子どもの安心安全を阻害する文化は変えてほしい」と指摘。磯野和美市教育長は「学校現場で確実に実行することが私の約束」と話した。市は提言書を元に、性暴力から子どもを守るための行動指針を作成し、今後教職員に通知する。
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