小中学生が模擬選挙、町政への要望レポート…千葉県酒々井町の「主権者教育」に全国から注目
堀場達 (2022年4月17日付 東京新聞朝刊)
千葉県酒々井町は小中学生の主権者意識を育むために取り組んでいる学習指導を冊子「ふるさと学習を通した主権者教育のすすめ」にまとめた。全都道府県に送り、自ら考えて、行動する有権者教育を行う際の参考にしてもらう。町の担当職員は「酒々井の取り組みが全国各地に広がっていってほしい」と活用を呼び掛けている。
「子ども議会」で町長が答弁
止水町では2017年度から、地域についての知識を高める「酒々井学」とともに、模擬選挙や子ども議会などの独自プログラムを小学校の授業に導入している。
酒々井学は3年生からで、歴史や自然環境などを順次学ぶ。6年生になると、行政の仕組みなどを教わり、各自が夏休み中、町政への要望をレポートに仕上げる。児童たちは模擬選挙で最優秀のレポートを決め、その作者が各学級の代表として、町長や幹部職員が答弁に立つ子ども議会に臨み、意見や質問を述べる。
「子ども議会は議会事務局、ふるさと学習は教育委員会といった具合に、各部局が別々に進めていた。一本化することで、子どもたちが地域を知って好きになり、良くするために何が必要かを主体的に考えるようになる」。学校教育課の一場郁夫主査は、取り組みの狙いをこう明かす。
総務省が依頼 全国に発信を
この取り組みに総務省も着目した。一場さんによると、選挙権年齢が18歳に引き下げられたことを機に、主権者教育についての問い合わせが各自治体から総務省へ多く寄せられるように。参考事例として、町外に紹介するよう依頼されたという。
酒々井町は総務省からの委託金100万円で、全国に発信するための冊子を300部作成。他に、具体的な指導法などを説明するガイドリーフレット500部と、プロモーションビデオなども作った。
「自分が住んでいる地域という意識が芽生えない限り、その地域を良くするための行動は生まれないと思う。それが広がって、良い国、戦争がなく住み続けられる地球をつくろうという意識につながっていくのでは」と、一場さんは力を込める。
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