参院選の模擬投票、よりリアルに 上尾市の公立中学で取り組み広がる 主要政党に質問ぶつけ回答を参考に投票
昨秋衆院選で初めて実施、2校加わる
「回答集は読めたかな。自分たちの考えをグループで共有してみましょう」。6日に模擬投票をした上尾中の3年3組。投票に先立ち担任の大野桂輔教諭(28)が声を掛けた。生徒らは5、6人のグループに分かれて話し合い、「ジェンダー問題の取り組みがいい」「私立高校の無償化が気になった」と各党の主張を分析。「回答が長過ぎて全部読むのがきつかった」と正直な感想も漏れた。
ジェンダー問題に興味がある鹿嶋みらいさん(14)は「元々いいなと思っていた政党より、ほかの政党の回答がいいと感じられたものもあった」と語る。若者の意見を政治に取り入れる仕組みを質問した畠山皓嗣さん(14)は、コンビニ投票など投票方法の多様化を挙げた政党を「子どもの僕らにしっかり分かりやすく説明してくれてありがたい」と評価。沖縄の基地問題に関心がある大熊音惟(とい)さん(14)は「各党の対応を理解できてよかった」とそれぞれに関心を高めた。
架空の設定ではなく実在の政党に生徒が質問し、その回答を参考にして行う模擬投票は、大石中の佐々木孝夫教諭(62)が考案した。昨秋の衆院選で同中で初めて実施。今回は新たに2校が加わり、大石中と上尾中の全クラス、上平中の一部のクラスの計約1700人が参加した。質問は国政の主な6政党に送り、いずれも返答があった。
教諭が挑む「主権者教育のための授業」
若年層の投票率の伸び悩みについて、大野教諭は自身の力不足も感じていたという。「主権者教育として授業で何ができるか。引き出しやアイデアが少なく、まねでもいいからやってみよう」と佐々木教諭らの研究会に参加。各党の主張を文字どおり受け取るだけでなく、根拠を調べたり、実社会と比較してみるなど、学びをより深める方法に検討の余地はあるものの、「これまでの架空の設定とは違い、リアルに感じられたようだ」と生徒らの反応に手応えを得た。
佐々木教諭は今回、生徒らの質問が単なる問いではなく、自分たちの将来を「こうしてほしい」という意思表明になっていることに気付いた。模擬投票が若者の政治参加意識を高めるとともに、日ごろから「若い世代の問い掛けに政党が答えるのが当たり前の社会になれば」と期待した。
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