ドキドキの授業参観 教室の空気が止まった次男の不適切発言〈加瀬健太郎 お父ちゃんやってます!〉
(2024年7月3日付 東京新聞朝刊)
「ぎょうざたまごがはいたすうぷこんすぷぱんけいきぎんだら」と、個性的な字で書かれたメモが、冷蔵庫に貼られていた。我が家きっての偏食家、三男のこれなら食べるよリスト。ここまでされると、毎日作ってあげたくなる。
先月、次男と三男の授業参観があった。1年生の三男の教室には、おもちゃみたいに小さな机と椅子が並ぶ。授業中もみんな後ろを振り向いて、親に手を振ったりする。ただただかわいい。
6年生の次男の授業参観。科目は社会。一番落ち着きがなさそうなのが、うちの次男。「椅子の後ろ脚だけでバランスとって、ゆらゆらしないでくれ!」と、汗が出る。そういえば、僕も通信簿に「落ち着きがない」と6年間書かれた。
みんなが静かに野菜の産地を地図に書き込む中、なぜか次男の鼻歌が教室に響く。「授業中にやめてくれ!」と、汗が出る。そういえば、僕も「撮影中、鼻歌歌ってますけど、なんの歌ですか?」と、よく仕事先の人に聞かれる。
「皆さん、ミョウガって野菜は知ってますか?」と先生。「紫の野菜」「豆腐にかけるやつ」と、みんなが答えていると、次男も手を挙げ、「金玉をとがらしたみたいなやつ」と言った。教室の空気は一瞬ピタリ、と止まったが、先生、生徒、保護者までも、次男の不適切発言なんて、なかったかのようにスルーした。その時の僕は、「うちの子ではありませんよ」みたいな顔をしていたと思う。
家に帰って、早速妻にこのことを話すと、「それあんた。そのまんまあんた。私じゃないよ」と言った。
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