金融経済教育って? 歴史的暴落にも慌てない 小学生から身に付けていきたい知識とは

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【第1回】金融や経済の仕組みと社会のつながりを学ぶ「金融経済教育」が広がっています。8月からは、企業や学校での金融経済教育の強化を担う「J-FLEC(ジェイフレック)」(金融経済教育推進機構)が本格始動。機構の運営委員でもあるファイナンシャルプランナーの八木陽子さんとともに、家庭で学べる金融経済教育について連載します。

世代別に最低限の金融リテラシー

 8月5日、東京株式市場でブラックマンデーを上回る下げ幅を記録した日経平均株価(225種)。新しい少額投資非課税制度(NISA)が始まってから初めての「大暴落」に慌てた投資初心者も多いはず。政府が「貯蓄から投資へ」を推し進め、金融商品を選ぶ「自己責任」が問われる時代。周りに流されず、自らの運用方針を定めるためにも、家庭で「金融経済教育」を取り入れてみたいものです。

 「金融リテラシーを欧米並みに上げ、国民の経済的安定と幸福度を高めることが目標です」。「J-FLEC(ジェイフレック)」(金融経済教育推進機構)運営委員の八木陽子さんは説明します。

 J-FLECが事務局を務める金融経済教育推進会議では、自治体や団体などで教育を担う人に向け、「最低限身に付けるべき金融リテラシー」として、家計管理、生活設計、金融・経済の基礎知識と金融商品を選ぶスキル、外部知見の適切な活用の4分野について世代別の目標を示した「金融リテラシー・マップ」を公表しています。

投資は長期・積立・分散が基本

 投資にかかわる項目について、「金融分野共通」「資産形成商品」などの分類で示されている世代別の目標をみると、たとえば「お金は貯めて将来使えることを理解する」(小学生中学年)、「リスクとリターンの関係について理解する」(中学生)、「少額であっても定期的に貯蓄・運用し続けることが将来の備えとして有益であることを理解する」(高校生)などが挙げられています。

 金融経済教育には、ライフプランの作成なども盛り込まれています。株や投資信託などのリスク商品の運用を選び、大暴落に直面した時も、生涯の支出・収入を見通す「ライフプラン」をつくった上で、余剰資産を長期に分散・積立投資していれば、損失リスクは限定的になる可能性が高まります。

 「初めて投資をする人にとっては、暴落はとても怖く感じ、やっぱり投資をやめたいと思ったかもしれません」と八木さん。「でも長期で考えると、下がっているときは買い時であることも多い。くじけずに長期積立分散を続けてほしい」と呼びかけています。

 金融経済教育 

2020~22年度に全面実施になった小中学校・高校の家庭科や社会科などの学習指導要領で記述が拡充された学習内容。金融の仕組みや資産形成、生活設計などについて学ぶ。

「J-FLEC(ジェイフレック)」(金融経済教育推進機構)

金融広報中央委員会(事務局・日本銀行)、全国銀行協会、日本証券業協会が発起人となり、4月に設立された認可法人。企業や学校での出張授業、無料のイベント・セミナー、個別相談、学習教材の無料提供、金融経済教育研究校の指定・支援、J-FLEC認定アドバイザーの認定・公表などの事業を行う。

監修・八木陽子

写真 八木陽子さん

 東京都在住。1男1女の母。出版社勤務をへて独立。2001年、ファイナンシャルプランナーの資格を取得後、マネー記事の執筆やプロデュース、セミナーなどの仕事をする。2005年、親子でお金と仕事を学ぶ団体キッズ・マネー・ステーションを設立。2008年、家計やキャリアに関する相談業務を行う株式会社イー・カンパニーを設立した。著書に「6歳からのお金入門」(ダイヤモンド社)、「10歳から知っておきたいお金の心得」(えほんの杜)など。

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