公立校でのいじめ認知 7.4%増の73万件超で過去最多に 小中の不登校も過去最多 「無理に行かせない」意識変化の影響か

奥野斐、志村影太 (2024年11月1日付 東京新聞朝刊)
 文部科学省が10月31日に発表した2023年度の児童・生徒の問題行動などの調査で、公立の小、中、高校及び特別支援学校におけるいじめの認知件数は前年比5万620件増の73万2568件と7.4%増加しました。いじめの認知件数はコロナ禍でいったん減少しましたが、その後は3年連続増加し、23年度は過去最多となりました。東京すくすくでは、全国の調査のうち、東京都と神奈川県の例を紹介します。
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東京都庁

「重大事態」は2倍超に 東京

 東京都内の公立学校のいじめ認知件数は6万9752件(前年度比3438件増)と過去最多だった。いじめ防止対策推進法が定める「重大事態」と判断された件数は、前年度までの40件台から2倍超の107件に急増した。

 都教育庁は「軽微なケースも見つけて対応しているのが全体数増加の要因」とみている。重大事態の増加の背景については、教育現場で同法への理解が進んだことなどを挙げた。

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 いじめの認知件数は小学校で6万2755件(同3398件増)、中学校6822件(同19件減)、高校は147件(同84件増)、特別支援学校は28件(25件減)だった。

 小中学校では9割以上の学校がいじめを認知。「冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる」が多かった。発見のきっかけで最多は、小中学校が「アンケートなど学校の取り組み」、高校は「本人からの訴え」だった。

 都は対策として、年3回以上のアンケートなどを続けるほか、新たに重大事態になった要因や共通課題を基に研修を検討する。暴力行為の発生件数も、前年度より440件増の3332件と過去最多に。学年別では小学4年、中学1年、高校2年が多い。

 また、小中学校で年間30日以上欠席した「長期欠席児童・生徒」のうち、病気や経済的理由などを除いた不登校の児童生徒数は3万1726人(前年度比44814人増)と11年連続で増え、過去最多となった。都教育庁の担当者は「無理に行かせないという保護者の意識の変化や、多様な学びの場の広がりなどが背景にある」と話した。結果は都教育委員会のホームページに掲載している。(奥野斐)

 

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神奈川県庁

認知件数 初の4万超 神奈川

 神奈川県教育委員会は31日、昨年度に公立(国立を除く)小中学校、高校、特別支援学校で発生したいじめの認知件数が4万4274件に上り、初めて4万件を超えたと発表した。件数は3年続けて過去最多を更新。小中学校の不登校児童・生徒数も過去最多を更新し、2万3629人(前年度比3306人増)だった。

 いじめは前年度より6187件増加。小中学校のいじめの増加数は横浜市が最も多く、3926件増えた。川崎市は540件増、相模原市は555件増、湘南三浦地域は1488件増だった。

 被害者の心身や財産に深刻な影響を及ぼした「重大事態」は22件(同8件増)。大磯町立小学校のケースでは、重大事態を巡る教委の調査に被害者側が納得せず、首長部局が再調査している。

 年間30日以上、学校を休む「長期欠席者数」は小中学校で3万2984人(同3967人増)、高校で8068人(同874人減)。このうち、不登校の数はそれぞれ2万3629人、3947人だった。自殺者は小中高で計11人減り、21人。背景にいじめがあったと教委が把握している事案はなかった。

 いじめの認知件数が増えた一方で自殺者数が減った要因について、県教委は、昨年度に正式導入したウェブアンケートシステム「かながわ子どもサポートドック」の成果だと分析。児童・生徒が持つタブレット端末などを使い、定期的に家庭環境の変化や困りごと、人間関係の悩みなどを聞くシステムで、県教委は「子どもが抱える困難を早期にキャッチした」と強調した。

 不登校の増加は近年、文部科学省などが「不登校は問題行動ではない」としており、無理やり登校させる動きが減ったとみられる。民間などが設ける子どもの居場所づくりも進んだと考えられるという。

 併せて発表した私立学校(計176校)のいじめ認知件数は291件(同27件減)、重大事態は2件。学校による調査では終わらず、県が再調査している重大事態は1件あった。長期欠席者数は小中学校で1386人(同32人増)、高校で1871人(同95人減)だった。(志村彰太)

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2024年10月31日

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2024年11月1日

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