川崎市教委が2025度の給食費を値上げ 1人当たり年間9000円前後の負担増に 物価に連動して毎年見直し

北條香子 (2024年11月23日付 東京新聞朝刊)
 物価高騰の影響で学校給食の食材料費が不足する状況が続いている問題で、川崎市教育委員会は11月22日の市議会文教委員会で、来年度の1食あたりの給食費を小学校で317円、中学校で376円に改定すると報告した。それぞれ47円、56円の値上げとなる。2026年度以降も物価の変動に応じ、年度ごとに給食費を見直す方針を示した。物価連動方式の導入は全国的にも珍しいという。
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川崎市教育委員会が入る市役所第3庁舎

1食あたり小学校317円 中学校376円

 市教委健康給食推進室によると、毎年秋までに前回の改定時から1%以上の消費者物価指数(CPI)の増減があった場合、翌年度の給食費を改定する。物価が1%以上上がれば値上げし、1%以上下がれば値下げとなる。増減幅が1%未満であれば据え置く。

 担当者は「給食費が足りなくなり、食材がさみしくなる時期が出るのはよくない。物価連動方式の導入で、子どもたちに我慢させることなく、給食の質を保つ」と狙いを説明する。

 来年度は、保護者にとっては子ども1人につき年間9000円前後の負担増となる。市議からは国の交付金などを活用し、保護者負担の抑制を図るよう求める意見が挙がった。

 市教委は今秋、市立学校の保護者と児童生徒の一部を対象に実施したアンケート結果を公表。

 保護者の85.2%が給食費値上げに理解を示したとした一方、給食無償化を求める声もあった。児童生徒からは改善を求める点として「くだものやデザートの回数が少ない」が最多となり、食材料費不足の影響への不満が示される形となった。

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会見で学校給食無償化への思いを語るメンバーら=市役所で

「多摩川格差」拡大と市民団体訴え

 市民団体「学校給食の無償化を求める川崎市民の会」は22日、川崎市役所で会見し、市議会の各会派などを対象に実施したアンケート結果を公表した。

 同会によると、アンケートには5会派と無所属3人が回答。川崎市での給食無償化への賛否を問う設問には、公明、共産、川崎・維新、三浦恵美、三宅隆介の両議員(いずれも無所属)が「賛成」とし、自民、みらい、月本琢也議員(無所属)が「どちらともいえない」とした。「どちらともいえない」とした会派・議員は「国で無償化すべきだ」などとした。「川崎市の無償化実現に何が必要か」という問いには、多くが「国からの財政支援」と回答した。

 同会メンバーの柴史織さんは会見で、市教育委員会がこの日、来年度からの給食費値上げを報告したことや、東京都内の自治体で無償化が広がっていることに言及。「子どもたちが満足できる給食を提供するため、1食あたりの単価を上げることは必要だが、値上げ分を保護者が負担するのでは(多摩川を挟んで東京都と神奈川県で格差が生じる)『多摩川格差』は拡大する一方だ」と述べ、川崎市の主体的な取り組みを求めた。

 同会は6月から街頭とインターネットで、国に先駆けた取り組みを市に求める陳情の署名活動を展開。22日までに約2万筆が集まり12月に市議会に提出する予定という。

元記事:東京新聞デジタル 2024年11月23日
元記事:東京新聞デジタル 2024年11月23日

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  • 匿名 says:

    材料が高騰している中で値上げは当たり前だと思う。

    多摩川格差なんて言葉が一般的のように使っているがそもそもそんな言葉知らない。周りは周りで隣の芝は青いという感じで東京に比べても川崎には川崎の良さはたくさんあると思う。

    その良いところが東京と並べるために改悪されたらそれはそれで文句を言いそう。

    東京に給食費を合わせて劣悪な素材を使ったり品目が減ったりするよりも、高騰に合わせて値段を調整して質を担保してくれた方が親としてはありがたい気がする。

     男性 40代

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