便利すぎる時代だからこそ… 新緑の季節、親子でキャンプ 楽しむコツとは
IHに慣れた子どもたち 揺れるたき火に興味津々
「子どもたちは森の中を走り回り、見たこともないほどはしゃいでいた」。横浜市の女性(44)は、家族4人で初めてキャンプをした3年前を弾んだ声で振り返る。当時、2人の子どもは5歳と2歳。スイッチ一つで電気がつき、蛇口をひねれば水も出る。そうした便利な生活に慣れた子どもたちが、災害などライフラインが断絶したときに命を守れるようにと思い立ったのが、キャンプだった。
参加したのは、初心者向けの2泊3日のキャンプ教室だ。それまでアウトドアの遊びといえば海に行く程度。自宅のこんろはIHのため、子どもたちは炎を見るのも初めて。ゆらゆら揺れるたき火を興味深そうに眺めていたという。
初日は雨だったが、子どもたちはテントにたまった水を落としたり、どろんこ遊びをしたりとうれしそう。共働きで普段は忙しい女性も夫も「風に揺れる木をただ眺めるだけの時間を過ごし、リフレッシュできた」と話す。今は年1回のキャンプが家族の楽しみだ。
テントはまずレンタル 着火剤やカセットこんろで手軽に
わざわざ不便な場所へ行き、不自由な時間を過ごすのがキャンプの醍醐味(だいごみ)。「自然が相手なだけに、突然の雨降りなど思い通りにいかないこともある。完璧を求めず、何事も楽しむ気持ちが大切」。情報サイト「親子キャンプ.com」の編集長で、2017年から初心者向けの親子キャンプ教室を主宰する寄金(よりかね)佳一さん(39)=横浜市=は言う。
寄金さんによると、最低限必要な装備は、寝袋と地面に敷くエアベッド、レインウエア、懐中電灯、アウトドア用の食器。レインウエアは雨に備えて防水、かつ汗を逃がしてくれるものがお薦めだ。多くの人が悩むテントは、最近はほとんどのキャンプ場でレンタルが可能。家族用だと、大きさや性能によって数万~数十万円する上に、使用後は十分に乾かすといったメンテナンスも必要だ。まずは、借りて使い勝手を試した上で、家族に合ったものを探すのが現実的という。
火は、昔ながらの火おこしをしなくても、空気の通り道を考えながら薪を組み着火剤を使ってつければ十分。料理には携帯用のガスこんろを使ってもいい。3食全てを手作りすると大変なので、レトルト食品をうまく使おう。無理しすぎないのがポイントだ。
好奇心・運動・人との関わり…脳の発達にも最適
大事なのは自然の中で思うように過ごすこと。「危ないからと何でも禁じるのではなく、親が見守りながらいろいろ挑戦させて」と寄金さん。寄金さんの教室では保育士の資格があるスタッフやベビーシッターが同行、子どもが自由に遊べるようサポートしている。
脳科学に詳しい東北大加齢医学研究所の滝靖之教授(48)によると、脳の発達に必要なのは好奇心、運動、人とのコミュニケーションの三つ。「キャンプはその全てを備えている。自分で課題を見つけて、解決法を考え、やり抜く力も養える」と魅力を話す。周りの人や物に興味が芽生える2歳ごろからが、連れていくには効果的という。
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