女優 本仮屋ユイカさん 安室さんに憧れた私に、厳しくクールな母が示してくれた道

五十住和樹 (2020年5月10日付 東京新聞朝刊)

(芹沢純生撮影)

「過干渉で無関心」な母 両極端でもベストです

 4つ下の妹が高校3年の時、自分と親の性格診断を受けたことがあります。母は「過干渉で無関心」だって。すごく両極端ですが、私には納得の結果。母親としてベストです。こちらが驚くほど心配したり、「少しくらい気にしてよ」ってくらい放任になったり。母子家庭で育ちましたが、両極端でもバランスよく育ててもらいました。

 母と双子の伯母がいて、私たち姉妹と女4人ですごく結束し、それぞれ苦手なところを得意なもので補い合ってきました。ワンチームみたいな感じで。このチームの支えもあって、今までやってこられたんだと思います。

「歌手は無理だけど、女優なら。やってみたら」

 小学生のころ、安室奈美恵さんになりたくて歌手を志したのですが、母は「向いてない」。でも「歌手は無理だけど女優にはなれるよ。やってみたら」と言われ、自分で児童劇団に応募しました。それがスタートです。

 どんな仕事にも好奇心と楽しみのある私ですが、とても心配性。母には「できるよ」ってやさしく励まされることはあまりなくて、「心配しすぎ」「できなくてもそれが実力」と突き放される。でも、そんな言い方をしてくれる人は周りに誰もいない。厳しくてクール、客観的な視点で支えてもらってきました。

「ウルトラマンと友だちなの?」…女優冥利です

 伯母は私のやりたいことや悩みを一番理解してくれる人です。母に何か言う前にアドバイスをもらう大切な相談相手です。

 妹には3歳の男の子ともうすぐ1歳の女の子がいて。私が劇場版ウルトラマンに出演した時、「ユイちゃん、ウルトラマンと友だちなの?」って。いやあ、女優冥利(みょうり)に尽きるなと思いますね。

ステイホームでわかった「一人って最高」の意味

 妹は料理が得意。「明日はこのケーキ焼くから」「多めにつくったからお昼、一緒に食べる?」と、仕事の合間に、多いときは月3回くらい妹の家に行きます。最近はシフォンケーキが絶品。あんこを上手に作れる人なので、お汁粉もおいしくて和菓子派の私も納得。もう、完全に私の胃袋をつかまれてます。

 わが家の味は、母がいつも作ってくれたそうめん。溶き卵の温かいスープで食べる中華風で、私は結婚しても、自分の家で絶対作ります。

 ステイホームでおうち時間が増えました。実家で使っていたホットプレートで、お好み焼きを作るなど楽しんでます。自分の城で自由に一人で過ごすのが好きですが、お仕事で会ういろんな人や、友人がいるからこそ一人の時間が楽しいんですね。一人って最高と思う時がありましたが、今は人がいてくれることが最高ってことに気づきました。ステイホーム効果かな。

本仮屋ユイカ(もとかりや・ゆいか)

 1987年、東京都生まれ。NHK連続テレビ小説「ファイト」で主演。TBS系「王様のブランチ」で司会を務め、多数のドラマや映画などに出演。妹は元東海テレビアナウンサーのリイナさん。11日放送のテレビ東京系ドラマ「再雇用警察官」に出演予定。YouTube「ユイカのラジオ」を始めた。