東京都が「NICU入院児支援手帳」を作成 854グラムの早産「不安でいっぱいだった」…孤独な親の道しるべに

都が作成した「のびのび~NICU入院児支援手帳」
制度の情報が充実 支援者も書き込める
2012年に発行した「のびのび~NICU退院支援手帳」を改定。入院中から赤ちゃんの様子を、家族や医療関係者だけでなく、支援者も書き込めるようにした。支援制度などの情報も充実した。北欧発の物語「ムーミン」のイラストを採用し、色は癒やしや希望、多様性を象徴する紫色に。大きさは母子健康手帳にそろえた。
都保健医療局によると、NICU入院児は8821人(2023年度)で、都内の全出生児の約1割。手帳は9000部作り、NICUのある医療機関などで配布を始めた。

手帳の「お子さんとのはじめて記念日」のページを開き、支援の必要性について話すゴーウィンかおりさん(左)と有光威志医師=都内で
成長の記録を「はじめて記念日」欄に
ゴーウィンさんの長男(6)も2019年、早産で854グラムで生まれ、5カ月間、都内のNICUに入院した。「これからどうなるのか不安で、なかなか状況を受け入れられなかった。育児書もなく、発達で参考になるものもない。情報収集もできなかった」と振り返る。
訪問看護師が息子の成長の様子を記録してくれていて、ありがたかったという。新しい手帳では、支援者も赤ちゃんの発達や必要な情報を書き込めるように工夫した。
また、「保育器の中で手のひら抱っこした日」や「チューブやテープが何もついていないお子さんに会った日」などの「はじめて記念日」欄も設けた。「わが子と向き合える時期は人それぞれ。開きたいタイミングで手帳を使ってもらえたら」とゴーウィンさん。
自身の経験から、入院中からの家族への支援が必要だと考え、2020年に「日本NICU家族会機構(JOIN)」の設立に協力。JOIN代表理事で、慶応大医学部小児科の有光威志医師は「多くの親は、突然子どもがNICUに入院し、心の準備もできていない。発達や支援、制度の情報が足りていない」と話す。手帳について「抱っこしたり、話しかけたりなど、赤ちゃんとふれあうきっかけにもしてほしい」と語った。
世界早産児デーに都庁をライトアップ
東京都は「世界早産児デー」(11月17日)に合わせ、11月16~18日に都庁舎などを紫色にライトアップする。16日午前11時から、江東区の商業施設「カメイドクロック」で普及啓発イベントを催し、有光医師も講演する。詳細は都のホームページで見られる。
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