赤ちゃんの頭のゆがみが気になったら専門医に相談を ヘルメット治療という選択肢 病気の早期発見も

斉藤和音 (2026年2月10日付 東京新聞朝刊)
 「赤ちゃんの頭の形が気になる」という相談が増えている。同じ向きで寝る「向き癖」によるゆがみは自然に治らず変形が残ることもあり、矯正する自費のヘルメット治療が急速に普及している。ただ、ゆがみの原因が病気の場合は手術が必要で、医師は「ゆがみが病気によるものか、そうでないかを判断することが大切。専門医に相談してほしい」と呼びかける。 
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ヘルメット治療中の赤ちゃん

頭のゆがみの相談が増加

 1月中旬、ナゴヤガーデンクリニック(名古屋市西区)の「赤ちゃんの頭のかたち外来」を、生後4カ月の長男を連れた夫婦が訪れた。名古屋大病院小児科の高橋義行教授がエックス線画像を示し、骨の病気ではないと説明。ただ、「ゆがみの程度が強く、耳の位置に左右差がある。治療を考えてもよいのでは」と促した。

 夫婦の受診は、乳児健診で保健師に相談したことがきっかけ。同じような相談が増えているとして、あいち小児保健医療総合センター(愛知県大府市)は1月、保健師向けの専門講座で初めて「乳幼児の脳と頭」をテーマに扱った。

 センターの脳神経外科部長、加藤美穂子さんによると、乳児の頭蓋骨は複数の骨で形成され、つなぎ目がある。向き癖があると特定の方向に圧力がかかり、頭がゆがむ「位置的頭蓋変形」に。病気ではなく、加藤さんは「発達への影響は明らかになっていない」と強調する。ただ、変形が大きいと歯のかみ合わせや眼鏡をかけた際にずれるなどの影響が出る可能性がある。

 まれに、頭の骨のつなぎ目が本来よりも早くくっついてしまう「頭蓋縫合早期癒合症」など、病気が原因でゆがみが起こる場合も。脳の成長が妨げられるため手術が必要だが、「早く病気を見つけられれば、手術の痕も小さく、体への負担も少なく済む」。一般的に2000~3000人に1人の割合で病気が見つかるとされるが、センターを受診した子どもでは100人に1人と頻度が高く、加藤さんは「健診時には気にかけてほしい」と話した。

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1日23時間装着するヘルメット

あおむけ寝が推奨されて

 相談が増えた背景には、あおむけに寝かせることが推奨されてきた経緯がある。「自然に治る」といわれてきたが、程度によっては変形が残る。軽度の場合、抱っこの時間を長くしたり、起きている間に腹ばいにする機会を多くしたりしてゆがみの予防・改善を目指す。重度の場合は、ヘルメット治療が選択肢に。加藤さんは「月齢が早いほど治療の効果が高く、生後6カ月までに始める必要がある」。

 ナゴヤガーデンクリニックでは、2022年4月に専門外来を開設。ヘルメットはオーダーメードで、樹脂製で軽い。内側のクッションの厚みを調整しながら平らになった部分の成長を促し、形を整えていく。約6カ月間、お風呂以外の1日23時間装着する。

 2025年12月までに3372人が来院し、ゆがみが強いと診断されたのは6割ほど。その約半数がヘルメット治療を選んだ。病気の疑いがあると分かったのは8人。若林俊彦院長は「これまで見落とされてきた病気が見つかっているのでは」と推測する。

 近年、ヘルメット治療を行う病院や専門外来が急増している。日本頭蓋健診治療研究会の細野茂春理事長は「自費診療で費用が50万円前後と高額なのも参入を促す一因」と指摘する。「小児の頭蓋変形は、日本ではまだ新しい医療分野。詳しい検査をせずに病気を見逃し、安易にヘルメット治療を勧めるようなことがあってはいけない」と注意を呼びかける。

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