子どもの近視の進行を抑えるコンタクトレンズが発売 点眼薬など治療が多様化、将来の目の病気の予防にも

佐橋大 (2026年2月17日付 東京新聞朝刊)
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近視を矯正しながら進行を抑える「マイサイトワンデー」

 近年増えている子どもの近視。近視を矯正しながら、その進行も抑える効果のあるソフトコンタクトレンズが2月10日に発売され、進行を防ぐ手段が多様化している。長所、短所はそれぞれにあり、専門家は「さまざまな要素を考慮して治療法を選び、将来的な強度近視のリスクを防いでほしい」と呼びかける。

1日使い捨て「マイサイトワンデー」

 2月10日発売のソフトコンタクトレンズは、クーパービジョン・ジャパン社の「マイサイトワンデー」。1日使い捨てタイプだ。

 近視の多くは、目の奥行き「眼軸長」が伸びて、遠くの物にピントが合わせにくくなる。マイサイトワンデーは、目に入る光の一部が網膜より前で像を結ぶようにすることで、眼軸長が奥に伸びるのを抑える。

図解 マイサイトワンデーの仕組み

 4カ国の8~12歳の小児144人を対象にした3年間の治験では、マイサイトワンデーを使った集団は、普通のソフトレンズを使った集団より近視の度合いを示すD(ジオプトリ)の値の悪化が59%抑えられた。重い有害事象の報告もなかった。2025年8月、厚生労働省が近視の進行を抑える治療用レンズとして製造販売を承認した。

近視の進行が目立つのは8歳前後

 年齢制限はないが、ソフトレンズを自分で扱えることが条件になるため、東京科学大眼科学教授の大野京子さんは「小学校中学年以上が対象になる」とみている。国内の治験に関わった、くぼた眼科(大阪府茨木市)院長の久保田泰隆さんは「レンズを使うことへの子どもの意欲が高いことも大切」と指摘。「近視の進行が目立ちやすいのは8歳前後の時期。治療は早いほど効果的で、低学年から治療を受ける子は増えている」と話す。

 レンズは公的医療保険の適用外だが、処方のための診察と検査は適用に。製品や子どもの目の特徴を熟知した医師らが関わることが条件で、処方できる医師はまだ限られているという。

図表 子ども向けの近視抑制の治療 マイサイトワンデー、リジュセアミニ、オルソケラトロジー

寝る前の点眼薬「リジュセアミニ」

 子ども向けの近視抑制の治療=上の表参照=で製造販売の承認を得た製品はほかに、2025年4月に発売された点眼薬「リジュセアミニ」もある。眼軸長の伸びを抑える成分が入っていて、寝る前に点眼する。5~15歳を対象にした治験では、対照群に比べ近視の度合いを示す数値の悪化を4割程度抑える結果が出ている。

 ただ近視の矯正には、眼鏡やコンタクトレンズが必要。今は診察、目薬代ともに保険適用外だが、6月以降診察と検査は保険が使えるようになる。

睡眠中の「オルソケラトロジー」

 また、寝ている間ハードコンタクトレンズをつけて角膜を変形させることで、起きている間の視力を戻す「オルソケラトロジー」治療にも、近視抑制の効果があるとの報告がある。日中は裸眼で過ごせるが、「マイナス4D」より進んだ近視では十分に視力が戻らない。レンズ代、使用を決めた後の診察と検査はいずれも保険適用外。

 久保田さんは「子どもの意欲や近視の程度、生活環境などを総合的に考え、その子に合った方法を選んでほしい」と提案。ただし、「合うかどうかは個人差があり、医師が最終的に判断する」と説明する。予防の大切さを訴える大野さんは「強度近視は緑内障など失明につながる病気の確率を上げることが分かっている。近視が進む子どもの頃に、進行を抑える治療を受けることが、将来の目の病気を防ぐことになる」。

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