子どもの便秘に要注意!「3~8歳の2割」との調査も なりやすい時期と原因、治療方法は?

(2019年4月9日付 東京新聞朝刊)
 規則的な排便ができず、便が出にくい状態が続く「慢性便秘症」。大人の病気と思われがちだが、3~8歳の子どもの2割がかかっているという調査結果もある。「便秘ぐらい」と軽く考えたり、「恥ずかしいから」と周りに相談することをためらったりしているうちに重症化する例も多い。専門医は早期の治療が大切と訴えている。

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毎日排便しても、コロコロや下痢状なら要注意

 日本小児栄養消化器肝臓学会などでつくる診療ガイドライン作成委員会によると、治療が必要な慢性便秘症とは、排便が週3回未満か5日以上ない、排便時に痛い、肛門が切れて出血するという状態が1~2カ月以上続くこと。ただ、委員会のメンバーの一人で横浜市東部病院小児肝臓消化器科の十河(そごう)剛医師は「毎日排便があっても、小さいコロコロの便や、下痢状の便が一日に何回も出る時は要注意」と指摘。「たまりすぎた便が漏れている可能性がある」と話す。

 十河医師によると、便秘になりやすいのは、離乳食を食べ始める時期、おむつを外し、自分で排せつするためのトイレトレーニングをする時期、小学校に入学する時期-の3つ。離乳食を始めると、ミルク中心だったころより便が硬くなることが原因。トイレトレーニングの時期は、自分でタイミングを決めてトイレに行くようになることが影響する。いきむと肛門が痛かったり、失敗して怒られたりしたなどの嫌な記憶をきっかけに、便意を感じても我慢を続ける中で便秘になる。もう一つ、小学校入学後は授業中にトイレに行けないことや、学校での排便を恥ずかしく感じて我慢をしてしまうことが原因だ。

我慢し続けていると、脳のセンサーが鈍くなる

 通常、口から入った食べ物は、小腸や大腸を通って便になり、肛門につながる直腸に下りる。すると、脳のセンサーが働いて肛門周辺の筋肉を緩め、トイレでいきむと便が出る仕組み。しかし、我慢し続けると、直腸に便があるのが当たり前と考えてセンサーが鈍くなる。


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 そのうち、直腸などに水分を吸収された便は、硬い塊となって肛門をふさぎ、いきんでも出ない状態に。塊の隙間から、新しく下りてきた水分を含んだ便が漏れ、「友達に『臭い』と言われるなどして傷ついている子もいる」という。

腹痛だけじゃない おもらし、げっぷ、嘔吐も

 十河医師のもとに駆け込んでくる患者の中には、重症者も多い。ある小学校高学年の男の子は、エックス線を撮ると、直腸やその上の大腸まで便でいっぱい。肛門をふさいでいた塊を取り除くと、便の総重量は2キロにもなった。

 慢性便秘症が引き起こすのは腹痛や肛門の痛みだけではない。大量の便でぼうこうが圧迫されて寝ている間におもらししたり、胃液が逆流してげっぷや嘔吐(おうと)の症状に悩まされたりすることも。下腹部の不快感による集中力の低下も問題だ。

子どものころに慢性 → 4人に1人は成人後も

 治療では便の塊をかん腸や薬で取り除いた後、再び便がたまらないよう、下剤を繰り返し使う。そのうち便意を感じるようになってきたら、下剤を減らしていき、その都度、排便する習慣を身に付けさせる。規則正しい生活や適度な運動、バランスのいい食事を3食取ることなども大事だ。治るには半年から2年間、十河医師によると最長で4年かかった子もいるという。

 子どものころに慢性便秘症になると、4人に1人が成人後も症状が続くというデータもある。日本小児栄養消化器肝臓学会は、慢性便秘症の症状や治療法、専門医の情報をまとめ、ホームページで公開している。

 

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