今年のインフルは「じわじわ増加」型…春まで流行の恐れ 子どもは重症化リスクに注意を
「1月下旬からコロナより多く」
「1月下旬ごろから、新型コロナよりもインフルエンザの患者の方が多くなった。日によってはインフルの陽性率が5割を超えることもある」と語るのは、小児科の発熱外来を設ける「五反野皮ふ・こどもクリニック」(東京都足立区)の松田健志医師だ。
厚生労働省によると、全国の定点医療機関から今月5日までの1週間に報告されたインフルの患者数は6万2583人で、1医療機関当たり12.66人。昨年11月下旬から10週連続で増加している。
1週間の1医療機関当たりの患者数が全国で1人を超え、厚労省が3年ぶりに「流行期」入りしたと発表したのは12月28日。その後増加が続き、今月3日には「注意報」の水準(1医療機関当たり10人)に達した。厚労省に助言する専門家組織は「例年の同時期と比べると低い水準だが、直近2年間よりは高くなっている」と分析する。
都道府県別では沖縄(47.18人)と福井(35.46人)が警報の水準(1医療機関当たり30人)を超えた。首都圏では神奈川(12.74人)が最多で、千葉(10.45人)、東京(9.81人)、埼玉(8.30人)などとなっている。
都内2校が休校、12校で学級閉鎖
コロナ禍の過去2年は流行しなかったため、インフルへの免疫が低下していることなどが、今シーズンの流行の背景にあるという。子どもの間でも感染が広がっており、休校や学年閉鎖、学級閉鎖となる学校も全国で増加が続く。都内では5日までの1週間で2校が休校、12校が学年閉鎖となった。
松田医師は、小児はまれに急性脳症を起こし重症化する恐れがあると指摘。家庭内感染も多くなっているとし「感染者が出たら、過ごす部屋を別にしたり、換気を十分にしたりするなどの対策を」と注意を促す。
昨年の米国に類似 4~5月まで
インフルエンザに詳しい菅谷憲夫・慶応大客員教授は「例年だと1月中旬から下旬にかけてピークとなることが多かった。今シーズンはこれまでにない流行の仕方になっている。ただ、米国では昨シーズン、こんな形でじわじわと増え続け、流行は4~5月ごろまで続いた」と指摘する。
例年と異なる流行になっている理由については「ウイルス干渉」の可能性を挙げる。あるウイルスが流行していると、別のウイルスの流行が抑制される現象で、世界でもコロナが猛威を振るう中、同様な流行の傾向が見られた地域があるという。
一方、政府は、コロナ対策として推奨してきたマスク着用のルールを3月13日から緩和する。菅谷氏は「インフルの流行が春先まで長引く恐れがある。マスクのルールが緩和されても、インフル感染などを警戒し、すぐに外さない人も多いだろう」とみる。その上で「インフルは小児に加え、肺炎を併発することがある高齢者も重症化リスクが高い。感染が心配な人は、今からでも遅くないのでワクチン接種も検討してほしい」と話している。
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