コロナで休園「子どもといるのがつらい」 保護者の8割近くが心身の変化を自覚 保護者アンケート報告書を公開
保護者が保育園に関わるきっかけに
アンケートは、コロナ禍の子育て家庭の状況を把握しようと、実行委員会「子どもと子どもを育てる人を支えるプロジェクト@あいち」が5月17~31日、オンラインで実施。愛知県内の保育園に子どもを預けている保護者510人から回答を得た。
コロナ禍で変わったと感じた子どもの様子について、28%が「わがままになる」、14%が「イライラしている」と回答。8割近い保護者が自身の心や体の変化も自覚し、「子どもと一緒にいるのがつらい」などと答えた。「約2カ月の自粛中に保育園から一度も連絡がなかった」「自分1人に育児の責任がのしかかっているような重圧があった」など、休園や登園自粛中でも保育園の支援を求める声も目立った。
実行委は報告書をブログで公開している。共同代表の椿加菜子さん(37)は「保護者が主体的に保育園に関わったり、社会を変える行動をしたりするきっかけになれば」と閲覧を呼び掛ける。
保育園が電話や動画配信でつながりキープ「子育てに大事な場だと再認識」
電話口で泣き出す保護者も
登園できない家庭の支援に努めた保育園もあった。
0~5歳児約140人を受け入れている名古屋市北区のめいほく保育園。5月、登園自粛中の家庭に、保育士が2回ずつ電話をかけた。様子を聞くと、電話口で泣きだす保護者も。ひとり親家庭の母親は、子どもが深夜1時まで起きているなど生活の乱れを打ち明け、「限界」とこぼした。保育士が「つらいときは園に来て」と言うと、安心した様子で後日訪れたという。
言葉が通じにくい外国籍の保護者は自宅を訪問。園児らを励ますため、保育士がリズムに合わせてメダカなどを表現した遊び動画も作り、保護者のスマートフォンに配信した。「保育園が子育てに大事な場だと、保育士も再認識できた」と墳原(つかはら)康代園長(59)。同園は以前から月1~3回、保育士と保護者らの会議を開き、バザーなどの行事も協力して開いている。墳原園長は「保護者と一緒に子育てをしていく」と話す。
臨時休園の時に園外で対応
保育制度に詳しい日本福祉大准教授の中村強士さん(47)は「保育園は保護者支援の場でもある。登園している園児だけでなく、休んでいる園児と家庭も支えることが重要な役割」と指摘。保護者の悩みを聞く保育ソーシャルワーカーを各園に配置することも訴える。
園内で感染者が出たときでも、濃厚接触者ではない園児の預かり保育を続けられるといい。北九州市は、市内の保育園が臨時休園になった場合、希望する保護者の子どもを園外で預かる仕組みを整えた。他の市立園の保育士らが市の施設に出向き、5月から延べ26人を預かった。
地域のつながりも大切にしたい。アンケートでは「登園自粛中、公園で新しい知り合いができた」という回答も多く見られた。実行委員で、子育て支援のNPO法人職員の本岡恵さん(56)は「保育園の他にも、安心して頼れる場所や人がいることが豊かな子育てにつながる」と話す。
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