認可外保育でうつぶせ寝の4カ月男児が死亡 世田谷区は注意したが…園長「いけないのは分かっていた」
3人のうち保育士資格は園長だけ
亡くなった男の子は真渚己(まさき)ちゃん(名字は非公表)。世田谷区などによると、昨年12月13日午後3時15分ごろ、施設内の布団で寝かされていた際に様子がおかしいことに職員が気付き、野崎悦生園長(58)が119番通報した。真渚己ちゃんは搬送先の病院で死亡が確認された。
この日午後は園長と職員2人の計3人で、真渚己ちゃんら0~2歳児計9人を預かっていた。保育士資格があるのは園長だけだったという。
都内で7日記者会見した両親によると、真渚己ちゃんは顔を真下に向けた状態で発見されたと職員から説明を受けた。
また、口や鼻の周りの布団が多量の唾液でぬれていたといい、両親はこれが原因で呼吸ができなくなったとみている。
認可に入れず…「悔やみきれない」
父親は「かけがえのない命が失われる悲劇は二度と起きてほしくない」と、区に調査を求めた。
母親によると、昨年11月に仕事に復帰するため、区内の複数の認可保育所に申し込んだが、入れなかったという。母親は「悔やんでも悔やみきれない。誰もが、安全な保育を受けられることを行政に強く望む」と訴えた。
世田谷区が検証委員会を立ち上げ
世田谷区は昨年7月に施設に定例の立ち入り調査をし、指導事項はなかった。だが、過去にうつぶせ寝をさせていたことから注意したことがあったという。
保坂展人区長は7日、「原因を究明し、検証委員会を立ち上げて再発防止を促す。また、0歳児を預ける認可外保育施設に実施している緊急抜き打ち検査を2月中旬までに完了させる」とコメントを出した。
園長は母親から「うつぶせで寝かせないで」と言われていた
「忙しいときは確認できていない」
野崎園長によると、真渚己ちゃんの母親が昨年10月下旬、利用前に見学に訪れた。うつぶせで寝ている子どもを目にした母親から、「(真渚己ちゃんを)うつぶせで寝かせないでと言われていた」と振り返る。
しかし、事故のあった日はそれが守られていなかったとみられる。真渚己ちゃんを寝かしつけた20代の男性スタッフは、聞き取りに「他の子が泣き始め、あおむけにしなかったと思う」と話したという。
また、0歳であれば、5分置きに寝ている向きや呼吸の有無を確認していた。だが、この日の「睡眠チェック表」によると、真渚己ちゃんが午後0時55分まで昼寝していた記録はあるが、以降は空白に。野崎園長は「忙しいときは確認できていないときがあった」。1時20分ごろに授乳したというが、「記録がないので、その後いつ寝たか分からない」と打ち明けた。
保育施設の死亡事故、63%が「睡眠中」
国の指針も「うつぶせ寝防止」だが…
乳幼児の睡眠について、こども家庭庁の担当者は「うつぶせ寝には窒息や乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクがある」と指摘。このため庁の前身の内閣府子ども・子育て本部は2016年3月にまとめた事故防止のガイドラインの1ページ目で「医学的な理由で医師からうつぶせ寝をすすめられている場合以外は、乳児の顔が見えるあおむけに寝かせることが重要」と明記している。
寝返りがうまくできない乳児でも、布団が柔らかい、つかまりやすい柵がある―などの状況だと、あおむけに寝かせても、うつぶせになることがある。このため目配りは欠かせない。
こども家庭庁の担当者は「自治体による研修や施設ごとのマニュアル作りでリスクを周知するほか、うつぶせ寝防止の取り組みができているか、自治体の指導監査で確認する必要がある」とした。
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知りたい
認可外で死亡事故が多いと報道されていることがよく見られるのですが、認可でもうつぶせを30分以上そのままにしていたり、5~10分ごとに子どものそばに行って呼吸を確認したり触れたりして確認していない園は非常に多いです。
そういった園で働くようになる度、口頭や資料を渡してうつぶせの死亡事例が多いことや仰向けにするためにコツがあることを伝えたり、自分でひたすら睡眠チェックや仰向けに返すことをして伝えようとしてきました。
保育士が午睡中にこなさなければならない仕事量の多さや、休憩と午睡時間が重なるため起きているときの人数保育者が確保できていないことが原因だと思います。
これを解消するには午睡中の保育者増員とか、保育士の最低基準の引き上げを国が言っている以上にすることしかないと感じています。