リビング学習の成果を答え合わせしてみたら〈瀧波ユカリ しあわせ最前線〉21

学習効果が上がると言われるけれど
子どもにリビングで勉強させる「リビング学習」。ブームになってから、15年は経つだろうか。親の目が行き届いて宿題をサボらなくなるし、家族のだれかが教えたりもしやすい。学習効果が上がりいいことずくめだと教育関係者やメディアが勧め、今ではすっかり定着した。我が家でも、娘が幼稚園生の頃からリビング学習をさせてきた。現在、娘は15歳。ふとこう思った。そろそろ、答え合わせの時期では?
さっそく中高生の子を持つ友人たちに聞いてみた。①リビング学習をさせてきたか?②現在はどこで勉強しているか?
すぐに10人ほどが答えてくれたが、やはりその全員がリビング学習をさせてきたとのこと。私自身は小学1年生から自室で宿題をやっていた記憶があるし、テレビアニメの「サザエさん」「ドラえもん」「ちびまる子ちゃん」でも子どもたちが勉強するのは子ども部屋だ。自宅学習の常識は大きく変わった。つまり親の負担が増えた。ご飯を作りながら子どもの勉強を見ている皆さん、本当におつかれさまです。

現在の勉強場所については、なんとほとんどの子どもたちが既にリビングを去り、自室やその他の居室で勉強しているとのこと。自然と自室でやるようになった子、ある日「私はもう自分の部屋で勉強する!」と宣言した子、親に促されてしぶしぶ自室に移った子など、変化の形はさまざま。また、「子どもが自室で勉強しているかは謎」と言う親もいれば、子どもに「勉強しているか確認してほしい」と頼まれて時々見に行くという親も。テレビなどの音があるほうが集中しやすいからと、たまにリビングに戻って勉強する子も多かった。
理想のゴールってなんだろう
そして親たち全員に共通するのは「これでいいのかはわからない」という思いだった。じゃあ、リビング学習の理想のゴールってなんだろう。その問いに答えてくれたのは、子ども2人がすでに成人している友人だった。「リビングでも自室でも、結局は自主性。親がどう立ち回っても、勉強する子はするし、しない子はしない。親と子の人生は一体ではない、とお互いが理解する瞬間がゴールなのでは」
最後に、我が家の場合。娘は放課後に公共施設の自習室などで勉強する少数派。よって私が目にするのは、リビングでくつろぐ姿ばかり。本当に勉強しているのか…?
疑念がよぎらなくもないが、娘から見れば私も毛布に包まれてばかりで、本当に仕事しているのかと思われているに違いないのである。
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瀧波ユカリさん(木口慎子撮影)
瀧波ユカリ(たきなみ・ゆかり)
漫画家、エッセイスト。1980年、北海道生まれ。漫画の代表作に「私たちは無痛恋愛がしたい~鍵垢女子と星屑男子とフェミおじさん~」「モトカレマニア」「臨死!! 江古田ちゃん」など。母親の余命宣告からみとりまでを描いた「ありがとうって言えたなら」も話題に。本連載「しあわせ最前線」では、自身の子育て体験や家事分担など家族との日々で感じたことをイラストとエッセーでつづります。夫と中学生の娘と3人暮らし。
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