ふるさと納税を活用して子どもの体験格差を解消へ 世田谷のベンチャー企業が「こどもふるさと便」サイト開設 

小田克也
 ふるさと納税の仕組みを活用し、地域の特産品などを応援品として全国の子ども食堂などに届けるサイトが開設された。寄付する人(納税者)がサイトを通じて支援したい自治体や子ども支援団体を指定できる。ふるさと納税を行うサイトは複数あるが、子ども支援に特化しているのは珍しいといえそうだ。
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「こどもふるさと便」を展開するネッスーの木戸優起社長(五十嵐文人撮影)

北海道旭川市など6市町が参加

 サイトは、子どもの機会格差解消に取り組むベンチャー企業「ネッスー」(東京都世田谷区)が昨年12月に立ち上げた「こどもふるさと便」。北海道旭川市や音更町(おとふけちょう)など6市町がそれぞれ「こども支援プロジェクト」を実施している。

 寄付しようとする人は、例えば音更町が行う、カレーに使う野菜3種のセットを送るプロジェクトを選択。寄付を受ける側として参加する自治体の一つ、神奈川県を指定すると、同県内の子ども食堂や難病の子どもがいる世帯、ひとり親世帯などに音更町から野菜3種セットが届く。寄付した人には町から返礼品が届くが、他のふるさと納税サイトと同様、希望する品を選べる。

図:「こどもふるさと便」の仕組み

子ども食堂に届けるコメが足りない

 6つのプロジェクトは、子どもに何を届けたいかという観点から決まった。例えばコメ。ネッスーの木戸優起代表(41)は「需給逼迫で、子ども食堂に届けるコメが足りないので、コメを応援品として設定できる、特産品としている自治体(旭川市)にお願いした」と説明する。

 6市町は、応援品となる特産品を地元から購入するので、地域振興や販路拡大にもつながると期待される。旭川市の担当者は「旭川産のコメの認知度向上、そして社会課題の解決に貢献できる」と話す。

 経済的に苦しい家庭に食料を無償提供するフードパントリーをメーンに活動する市民団体「ほっとライス」(愛知県刈谷市)には昨年、旭川産のコメが届けられた。代表の竹上富彦さんは、取り組みについて「こういう試みは非常にありがたい」と語る。

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野菜3種のセットの一つである北海道音更町産のニンジン(ネッスー提供)

今後は部活の道具を届けたい

 木戸さんは、商社やコンサル会社勤務を経て、フードバンクの会社をつくろうと2022年6月、ネッスーを設立。幼少の頃から、子どもの機会格差解消に役立つ仕事をしたいと考えていたという。

 木戸さんがフードバンクに関わって見えてきたのは、寄付するために集める食品の量や品目が偏ることだという。「コメや野菜や魚を届けたくても、なかなかない。安定した支援を行うため、ふるさと納税を活用して計画的に支援できないかと考えた」と話す。 

 今後は一例として、部活の道具を買えなくてスポーツを諦める子がいることを念頭に「バットを特産品とする自治体が全国にバットを届けるとか、そのための子ども支援プラットフォームになれないかと思っている」。

 ふるさと納税を巡っては、自治体が寄付を獲得しようと返礼品を豪華にする競争が過熱。「金持ち優遇」との批判もあり、2026年度の税制改正大綱には控除限度額の見直しが盛り込まれた。

 木戸代表は「こどもふるさと便は、返礼品ではなく、子ども支援という使い道で寄付を行うサイト。本来のふるさと納税の在り方に近い役割も果たせるのではないか」と話している。

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