「復興を確かめ、笑顔に会いたい」被災地を訪問し続ける高校生の思い 10年の節目も宮城・山元町へ
10歳で初訪問 校舎のがれきにショック
太平洋沿岸にある山元町は津波で町域の4割が浸水し、637人が亡くなった。大震災から3年後の2014年、足利市立山前小4年だった小林さんは、市内の子ども劇団「ドリームワールド」の一員として訪れた。足利市を拠点に活動する復興支援団体「足利風(ふう)」の呼びかけだった。
創作劇「Little earth story~地球(ほし)の子」は、被災地の人々を和ませた。最年少だった小林さんは、子どもだけに見える地球の子役を演じた。
初めて訪れた町で、見るもの触れるもの、すべてショックだった。児童ら90人の命を守った中浜小学校の校舎はがれきであふれ、何もない更地が以前は駅だったと聞いた。
被災者のいま 若い世代から発信したい
あっと言う間に家族が津波にさらわれた町民の話に心が揺れた。「お別れする時間もない。大切な人が突然消えてしまうなんて。もし私だったら…」
翌年にラジオ朗読、翌々年は花植えのボランティア、そして14歳のときは家族とともに山元町を訪問した。母みゆきさん(59)は「夏実の強い希望だった」と振り返る。
計画中の5度目の訪問で被災地のいまを伝える写真と被災者の声をまとめ、学校で発表するのが目標だ。「自然災害の恐ろしさに福島の原発の問題もある。震災を風化させないために私たち若い世代がもっと考え、発信していくべきだと思う」と話した。
劇を手掛けた足利の支援団体、11日まで企画展
「足利風」主催の企画展「東日本大震災10周年展~風化させないために~」が11日まで、足利市相生町の市民活動センターで開催中。被災地の写真やパネル、新聞切り抜きなど約50点を展示、東北の被災地を150回以上訪れてボランティア活動を続ける鈴木光尚(みつなお)代表(73)が解説する。問い合わせは足利市民活動センター=電0284(44)7311=で受け付けている。
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