障がい児の子育て「利用できる制度にたどり着けるように」 川崎の市民グループが「支援ハンドブック」作成

山本哲正 (2022年1月30日付 東京新聞朝刊)
 「一緒に考えてくれる人が、近くにいるよ」―。子どもに障がいがある保護者らに身近な相談窓口などを分かりやすく伝える「障がい児の子育て支援ハンドブック」を、川崎市内の市民グループが作った。2月1日に刊行される予定で、「一人で悩まないでほしい」と話している。
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別冊(右)付きの「改訂版 障がい児の子育て支援ハンドブック」=川崎市麻生区で

新設の支援機関を紹介、専門家の声も

 ハンドブックは障がい児の療育・教育に携わる川崎市内の関係者らの緩やかなネットワーク「豊かな地域療育を考える連絡会」が作成。2010年に発行した最初のハンドブックを制度変更に合わせて改訂しており、2回目の改訂版になる。

 B5変型判の100ページで、2021年に設置された子ども発達・相談センターや医療的ケア児・者等支援拠点など新しい支援機関を、市の協力を得て細かく紹介。性教育やてんかん発作などへの医師ら専門家によるアドバイスや、体験談も豊富に掲載。関連事業所や利用できる制度の一覧をまとめた別冊もついている。

「預け先見つからず倒れた」体験から

 重度の重複障がいのある小学生の母親で、編集長を務めた療育ねっとわーく川崎サポートセンター主任の七川富美子さん(45)は「人と人をつなぐ懸け橋となる本づくりを心掛けた」という。

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編集長として体験を生かした七川さんと、長女の小春さん(七川さん提供)

 長女の小春(こはる)さん(9つ)が乳児の頃、七川さんは心身の疲労で体調を崩し、病院へ行きたくて娘の一時保育先などを探したことがあった。1カ月かけても預け先は見つからず、ついに倒れたという。「当時も、実は預けられる制度はあったと、後で知りました」。この体験から、利用できる制度にたどり着けるよう「相談」を大特集。26ページを費やし、Q&Aや担当職員からのメッセージなどを交えて分かりやすい紹介を心掛けた。

受け止めてくれる相談先は、必ずある

 「子育ては楽しいものであってほしい」と願う七川さん。一人で悩む保護者たちにそんな思いが届いてほしいという。「公的な窓口から民間まで、たくさんの相談先を盛り込んだ。相談して期待はずれだと疲労がたまるが、受け止めてくれる相談先は必ずある。諦めないで相談し続ける、道しるべにしてほしい」

 ハンドブックは限定5000冊。500円(税込み)。川崎市内2カ所の地域療育センターなどで直接購入できるほか、連絡会にメール=yutakanaryoiku@gmail.com=や電話などで注文できる。問い合わせは、「豊かな地域療育を考える連絡会」=電話044(455)7468=で受け付けている。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2022年1月30日

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