ひとり親世帯や一人暮らしの若者においしい食材を 所沢の「みかた」 地元企業から生鮮食品や洋菓子

中里宏 (2022年9月6日付 東京新聞朝刊)

「困っている人はたくさんいる。もっと広げていきたい」と話す上杉さん=いずれも所沢市で

 埼玉県所沢市の西武新宿線 新所沢駅周辺を拠点にネットメディア「Rita(リタ)」を主宰する上杉貴雅さん(42)が、ひとり親世帯や一人暮らしの若者など、生活に困難を抱える人に地元企業から提供された生鮮食品や菓子類を配る仕組み「みかた」のネットワークづくりを進めている。既に20世帯が登録し、地元企業の協力で5月から隔週月曜日に食料と笑顔を届けている。上杉さんは「困っている人は、まだたくさんいるはず。活動を広げていきたい」と話す。

外遊びのボランティアから広がって

 2011年、東京都内の広告代理店から編集プロダクションに転職し、時間がつくれるようになったのを機に、都内の児童養護施設で中学3年生の学習支援を受け持ったのが、上杉さんのボランティア活動の始まりだった。

 それから、「ひとり親世帯の子どもは、アウトドアで遊ぶ機会が圧倒的に少ない」と気付き、高校時代の仲間らとひとり親の子どもたちに川遊びやバーベキューなどの外遊びを提供するボランティア団体「オレンジフラッグ」も始めた。

 2015年に所沢市の店舗経営者をインタビュー形式で紹介するネットメディア「Rita」を立ち上げた。人脈を広げているうちに地元の店舗経営者に「機会があればコロナ禍で困っている人を助けたい」と考えている人が多いことを知り、地元の店とひとり親世帯などをつなぐ「みかた」の立ち上げを思い付いた。

レトルトやスナックより生鮮食品を

 埼玉県内で活動が広がっているフードパントリーではレトルト食品やスナック菓子、缶詰などが多く、生鮮食品の提供が比較的少ないことから、ウズラの卵の「モトキ」やファーマーズマーケットなどを手がける「Corot(コロット)」、洋菓子店「Emile(エミール)」など地元企業の協力を得て、5月から新所沢駅東口の居酒屋「まんまる」などでの配布を始めた。

一般的なフードパントリーでは少ない生鮮食品や洋菓子を配っている

 「活動をしていると、単純に『ありがとう』と言ってもらえる。それが好きだし、困っている人がいるのを知ってしまうと、助けないという選択肢はない」と上杉さん。必要と思える人には社会福祉協議会など、公的機関への相談も勧める。「みかた」への参加は「Rita」のホームページの登録フォームから利用申し込みが必要。みかたに提供してくれる店舗や企業も募集中。問い合わせは「 info@rita-ms.com 」へのメールで受け付けている。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2022年9月6日

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