子どものベランダ転落、5月と秋は要注意! 窓を開ける機会が増加… 防止のポイントは?
子どもは想定外の動き 音や声にも反応
8月のある日、タワーマンションが林立する江東区の臨海部。公園で長男(5つ)と次男(3つ)を遊ばせていた会社員の女性(44)は「あの事故は人ごととは思えません」と不安げに話した。
事故は5月3日の昼下がり、近くのマンションで起きた。警視庁によると、10歳未満の小学生女児が4階の自宅ベランダから誤って転落し、足や腕を骨折。ショックで女児は一時放心状態になったという。当時、両親は外出中だった。
警視庁幹部は「ベランダに踏み台になるものはなかった。本人は手すりを乗り越えた理由を『覚えていない』と話していたが、子どもは想定外の動きをするので注意が必要だ」と語る。
公園にいた女性は近くのマンション3階に住んでおり、事故後は子どもをベランダで遊ばせる機会を減らした。ビニールプールで遊ばせるときは、踏み台になるものがないか細心の注意を払っているという。「子どもは好奇心が旺盛。すぐ高い所に登りたがるので目が離せない」と話した。
小学5年の長女(10)と小学1年の長男(7つ)と一緒に公園にいた主婦(40)は、近くのタワーマンションの高層階で暮らす。コロナ禍ではベランダにレジャーシートを広げ、子どもたちとピクニックごっこを楽しむ。
子どもたちがベランダに出るときは一緒にいるようにしているが、不安が頭をかすめることもある。「外で大きな音や声がすると、突然手すりから顔をのぞかせようとする。気が抜けません」と漏らした。
最多の5月に次いで多いのは9月・10月
東京消防庁のまとめでは、5歳以下の子どもが2階以上の窓やベランダから転落した事故は、2015~2019年に70件あった。気候が良く窓を開ける機会の多い5月が最多の16件だが、次いで多いのが9月の11件、10月の10件だ。
転落事故は秋に各地で起きている。2021年10月、大阪市北区で女児(4つ)が25階から転落して死亡。2018年10月には、川崎市川崎区で男児(2つ)が9階から落ちて重傷を負った。
消費者庁の担当者は「ベランダに踏み台を置かないことが大切。特にエアコンの室外機や植木鉢には注意が必要だ」と指摘。窓の高い位置に補助錠を取り付けるのも効果的とした上で、「子どもだけで遊ばせないことが重要」と強調する。
担当者は「今後もコロナの感染状況次第では、ベランダで遊ぶ機会が増えるかもしれない。十分に注意してほしい」と呼び掛けた。
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