クルミのアレルギーが増加、ナッツ類が小麦抜き第3位に 洋菓子、ごまだれにも…表示義務7品目に追加へ
おせちの田作り 顔が見る見る腫れて
3年前の正月、名古屋市の松本恵さん(35)は、当時3歳の娘(6つ)の顔が見る見るうちに腫れていくのに驚いた。疑ったのは、おせち料理の田作り。小魚にクルミがあえてあった。娘はもともと乳にアレルギーがあり、「普段から気を付けているので、すぐに発見できた」。後に病院でクルミアレルギーと診断された。
アレルギーは、異物から身を守る免疫の働きが異常を来し、口のかゆみや湿疹、呼吸困難などの症状を引き起こす状態。食物アレルギーに詳しい藤田医科大ばんたね病院(同市)小児科教授の近藤康人さん(60)によると、食物中の原因物質は、食べて腸管から吸収されるだけでなく、触れることで皮膚から取り込まれるものもある。ナッツ類もその可能性が高く、発症すると重篤化し、治りにくい。
ただ、1つのナッツにアレルギーがあるからといって、全てのナッツ類に反応が出るとは限らない。同じクルミ科のクルミとペカンナッツ、ウルシ科のカシューナッツとピスタチオはそれぞれ両方にアレルギー反応が出ることが多い。ちなみにピーナツはマメ科で、ナッツの仲間ではない。
健康や美容効果で注目 消費量が増加
消費者庁が3年ごとに行っているアレルギーの実態調査によると、クルミアレルギーの発症数は2011年に40件だったが、2020年は10倍超の463件に増加。アナフィラキシーショックなどの重篤な症状も2011年の4件から2020年は58件に増えた。消費者庁は本年度中に、食物アレルギーを引き起こす原材料として表示が義務付けられている7品目に、クルミを追加する方針だ。
背景には、消費量の増加があるとみられる。ナッツ類の輸入数量を見ると、2018年は7万918トンと、2009年の約1.6倍に増えて過去最高に。もともとはおつまみやおやつとして食べられていたが、最近は健康や美容効果でも注目されている。
他のアレルギーがあると出やすい傾向
幅広い食品に入っているのもナッツ類の特徴だ。例えば、アーモンドやココナツは洋菓子パウダーに、カシューナッツペーストを使ったカレールウもある。小学1年の時、クルミパンを食べてアレルギーが分かったという名古屋市の女性会社員(30)は最近、外食で鍋を食べる際に、ごまだれのラベルを見て驚いた。「お菓子は原材料表示を必ず確認しているが、まさかごまだれにも入っているとは…」。認定NPO法人「アレルギー支援ネットワーク」(同市)で啓発活動をする管理栄養士の仲佳代さん(48)は「サラダの上のトッピングなどは分かりやすいが、粉砕されたら気が付かない」と言う。
近藤さんは「他のアレルギー疾患があると、ナッツアレルギーが出ることが多い」と指摘。予防のため、早めにアレルギー専門の医療機関で血液検査などを受け、アレルゲンを特定するよう勧める。「知らないうちに口にして、呼吸が苦しい、意識が遠のくなどの症状が出た時はすぐに受診を」と呼びかける。
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