移住女性と子どもへの暴力を終わらせよう 川崎市の支援団体「カラカサン」設立20年
竹谷直子 (2023年3月14日付 東京新聞朝刊)
外国籍のシングルマザーたちを支援する市民団体「カラカサン」(川崎市幸区)が11日、設立から20周年を記念するイベントを川崎区のカトリック貝塚教会で開いた。創設メンバーや当事者ら約90人が集まり「移住女性と子どもへの暴力を終わらせるために前進し続けよう」と声を上げた。
同じ境遇の人救いたいと相談や食糧支援
カラカサンは、2002年12月7日に設立。DV被害を受けたシングルマザーたちが同じ境遇の人たちを救いたいと立ち上げ、女性たちの相談を受けて適切な機関へつないだり、食料支援をしたりしてきた。
11日のイベントでは、フィリピンやアメリカ、コンゴ共和国の女性たちが参加。「私たちはここにいる!私たちの新たな挑戦」と題してカラカサンのこれまでの歩みを伝えた。共同代表の山岸素子さんは、言葉や就労の困難など移住女性が抱える課題を話し、言語の壁から十分な情報も得られないと説明。「法律と社会構造を変えないと移住女性の問題を解決するのは難しい」と指摘した。
DVはなくなっていない 次世代にも継ぐ
名古屋出入国在留管理局に収容されていたスリランカ人女性のウィシュマ・サンダマリさんの死にも触れて「DV防止法の改正やあらゆる在留資格の人々を保護するビザ制度の見直しは緊急の問題」とした。
日本人の夫からDVを受けた被害者も体験を話した。フィリピン国籍の女性(53)は「夫からの暴力でアザだらけだった」と振り返った。カラカサンに来たばかりのころは「下を向いて誰とも話さなかった」とDVによってふさぎ込んでいたとし、大きな声で「私たちは必ず回復できる」と力を込めた。
団体によると、これまでに支援してきた人は300人を超える。寄付を中心に運営をする中、続けることが困難なこともあった。共同代表を務める西本マルドニアさん(67)は「DVはなくなっていない。私たちはおばあさんになったが、次の世代にも継いで、続けていきたい」と話した。
1
なるほど!
1
グッときた
0
もやもや...
1
もっと
知りたい