虫や鳥の目で街中の植物を見てみよう! 視点植物観察家・鈴木純さんが伝える「小さな発見」の楽しみ方
「街中でどこでも見られるものを見る」
4月中旬のある日、雲一つない青空の下、木々が風に身を委ねていた。鈴木さんは、観察会の参加者約20人に「植物の名前を知れば特徴がくっきりと浮かび上がります。観察すると、植物の仲間につながっていきます」と語りかけた。
観察のテーマは「街中でどこでも見られるものを見る」。ぐっと目線を下げ、まずは、空の色を映したような青い花、オオイヌノフグリを観察する。背丈は10センチほど。その近くに、よく似た小さな花、タチイヌノフグリも見つけた。
「花の形が似ていると仲間の可能性が高いです」と鈴木さん。「花びらの枚数や形などの特徴から自分なりの決め手を見つけ、じっくり観察していくと、どれが仲間か分かってきます」。それぞれの実を見てみると、ともにハート形。とても近い仲間だと分かる。
カタバミの葉で10円玉を磨くと…
次は、5枚の花びらが特徴のカタバミ。小さな葉が3枚セットになっていてシロツメクサと似ているが、葉の形が異なる。
カタバミはハート形で、シロツメクサは丸形だ。さらに、鈴木さんが10円玉を取り出し、カタバミの葉で磨くと、表面がピカピカになった。葉に含まれるシュウ酸の働きだ。カタバミは虫に食べられないよう、シュウ酸で身を守っているのだという。
「葉っぱは光を集め、生きるためのエネルギーを生み出す重要な部分。植物は動けないので、さまざまな方法で葉を守っています」
だが、ヤマトシジミ(チョウ)の幼虫がカタバミの葉を食べるように、シュウ酸の働きも全ての虫に有効ではない。ここに鈴木さんは自然の面白さを感じるという。「独り勝ちはできない。植物の生き方を感じられます」
植物に目線を合わせて近づく
では、植物観察のこつは? 鈴木さんは「距離感が大事」という。小さな植物を見るため、地面にはいつくばることも。「植物の高さまで顔を下ろし、目線を合わせて近づく。そうすると、人の視点ではなく虫や鳥などの視点になり、全く違うものが見えてきます」
鈴木さんは東京農業大造園科学科に入学してすぐ、樹木の名前を180種類覚えるという課題を与えられたという。「最寄り駅にケヤキとクスノキが生えていて、普段からずっと見ていたのに、その違いも知らなかった。それがきっかけで、植物の世界にのめり込みました」と振り返る。
鈴木さんによると、これからの季節におすすめの植物はカラスノエンドウ、アメリカフウロなど。「身近な植物に近づいて、自分なりの発見を楽しんでください」
鈴木純(すずき・じゅん)
1986年、東京生まれ。東京農業大を卒業後、青年海外協力隊に参加し、中国で砂漠緑化活動に関わる。帰国後の2018年、まち専門の植物ガイドとして独立。著書多数。今年3月、初の写真絵本「シロツメクサはともだち」(ブロンズ新社)を刊行した。
鈴木さんによる観察会(年間講座)は満員。今後の最新情報はWebサイト「まちの植物はともだち」やSNSで紹介している。
\3月14日、発売開始!/
シロツメクサはともだち(ブロンズ新社)
ついに!
ついに出来ました~!!!!
自身初の写真絵本です。
いやぁ、出来ました。やっと出来ました。なんといっても4年4ヵ月もかかりましたからね。これが出来るまでに…。↓ pic.twitter.com/LZKrGHMN26— 鈴木純|新刊絵本『シロツメクサはともだち』(ブロンズ新社)、発売開始! (@suzuki_junjun) March 7, 2024
なるほど!
グッときた
もやもや...
もっと
知りたい