南青山の児童相談所は4月オープン 住民の反対あったが…虐待事件が続き「児相への理解が深まった」
宮本隆康 (2021年3月14日付 東京新聞朝刊)
東京都港区南青山に、児童相談所などの複合施設「港区子ども家庭総合支援センター」が4月1日、オープンする。13日に報道陣に公開された。区の担当者は「親への支援も含め、虐待防止に力を入れたい」と話す。建設を巡っては、一部の地元住民から「南青山のブランドイメージにふさわしくない」などと反対も出ていた。
子ども家庭支援センターなど支援施設も
港区によると、施設は4階建てで、延べ床5300平方メートル。児童相談所のほか、子育て相談などをする子ども家庭支援センター、養育が困難な母子家庭の生活支援施設が入る。
このうち児相は2900平方メートルで、虐待を受けた子どもの一時保護所や相談室、学習室などを備える。一時保護所の定員は12人。
区に意見1600件 賛成8割、反対1割
港区は2017年、国有地を建設用地として取得。周辺は高級ブランド店が軒を連ね、2018年の説明会では「一等地に似合わない」「土地建物の資産価値が下がる」などと一部住民が反発した。区は「広い用地が必要で、他に適した土地がない」と説明してきた。
区によると、説明会での発言や区への電話などで、これまで約1600件の声が寄せられた。約8割が賛成、反対は約1割、残りは提案や意見などだった。
世田谷、江戸川、荒川区に次ぐ4カ所目
2019年の千葉県野田市の小学4年の女児死亡など、虐待事件が相次いだこともあり、その後は反対意見は減ったという。今も反対の手紙が届く一方で「施設で働きたい」との声も寄せられ、ボランティア20人の募集には36人が応募した。
区の担当者は「児相への理解は深まったと思う。たくさんの意見や提案を背負った施設になる」と話す。
児童福祉法改正で2017年度から、港区などの特別区も児相を設置できるようになった。東京23区内では世田谷区と江戸川区、荒川区に次いで4カ所目。
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