子育てのイライラにどう向き合う? 菊池亜希子さん×加瀬健太郎さんスペシャルトーク(前編)
トークショー「そのままでだいじょうぶ」
第1部は「そのままでだいじょうぶ」と題したスペシャルトークショー。モデル・俳優の菊池亜希子さん(40)と、本紙生活面で「お父ちゃん やってます!」を連載中の写真家・加瀬健太郎さん(49)が登壇しました。5歳と3歳の子を育てる菊池さんと、12歳、10歳、6歳、2歳の男の子4人を育てる加瀬さんが、子育ての苦労や工夫、パートナーとの関係づくりで心がけていることなどを語りました。
Q1. イライラした感情をどう抑える?
今川綾音・東京すくすく編集長 今日はお子さん連れの方にたくさんお越しいただいています。菊池さんは子育てのことを語るイベントへの出演は大変珍しいとのこと。会場をご覧になっていかがですか。
菊池亜希子さん 自分が子どもを連れてイベントを見に行く時は、「ちゃんと静かに待てるか」がストレスになって諦めることが結構多いのですが、ここはすぐに外に出られていいですね。
今川 子連れで参加することを諦めずに来られる場所をつくりたいと思っての企画なので、このような顔ぶれになって本当にうれしいです。今日は、会場のみなさんと同じぐらいのお子さんを育てているお母さんお父さんとして、同じ目線でお話ができたらいいなとお二人にお越しいただきました。
では、会場の皆さんから事前にいただいた質問をもとに、お二人にお話を伺っていきます。まずはお子さんとの関わりについて。1つ目の質問です。「子育てでイライラした時、強い口調で言ってしまいそうになった時、怒りの感情を抑えるためにどうしていますか?」
菊池さん むしろ私もみなさんに聞きたいぐらいです。イライラしますよね。保育園に一人、イライラしないお母さんがいるのですが、ずっと笑顔でいられる理由を聞いてみると、「まだ人間と思ってないから」と。真面目に向き合うと「一人の人間だし、尊重しなければ」となってしまうので、それも一つの考え方ですよね。
私は本当にイライラした時は、1回トイレに入って好きな歌を歌う。自分が好きだった曲や、その瞬間に思い浮かぶ曲があって、こないだはthe brilliant greenの「冷たい花」という曲を思い出して歌いました。「傷つけ合うくらい愛していた」という歌詞で始まるんですけど、愛しているから、傷つけ合うような言葉が出ちゃうんだよね、と。歌に助けられることは結構ありますね。
今川 一人の空間で、歌いながら気持ちを整えるのですね。加瀬さんはいかがですか。
加瀬健太郎さん そういう時は僕は1回庭に逃げます。深呼吸して「落ち着け」と自分に言い聞かせて、戻ってきてもまだ怒ってますけどね。
今川 子どもと過ごすことはイライラしたり、感情が抑えられなくなったりする場面に出くわすってことなんでしょうね。
Q2. きょうだいげんか、しますか?
今川 続いて2つ目の質問です。「きょうだいげんかも悩みの一つだと思いますが、菊池さんと加瀬さんのお子さんはきょうだいげんかされますか?」
菊池さん します、します。2学年離れているんですけど、ちょうどその年齢差が一番けんかするような気がします。お姉ちゃんの方が不満なんでしょうね。下の子が生まれた瞬間から、それまで独り占めできていたことを、急に現れた訳の分からない生き物に奪われる。お姉ちゃんは宿命として背負っているせいか、常にむっとしているんですよ。その表情もとてもかわいい。弟がただ一緒にそばに座っているだけでも、「足があたった」「今、私が座っていたんだ」と。私は妹だったので、私のお姉ちゃんを見ているみたいで、「お姉ちゃん大変だったんだなー」と思っています。自分が小3、お姉ちゃんが小6の頃のけんかが一番壮絶だった記憶があるので、子どもたちのけんかは、まだかわいいもんだなと思って見ています。
今川 加瀬さんのところは、中学1年のお兄ちゃんから2歳の一番下のお子さんまで男の子が4人。きょうだいが多い大変さや楽しさって、一番は何ですか?
加瀬さん きょうだいは多くても少なくても、どっちでもいいですよね。まあ、多いとけんかは増えるんですよ。いつもごはん食べていると、誰か一人泣き出す。お兄ちゃんがだいたい、いじわるなことを言ってわーっとなるんですけど、たまに一致団結したりするんです。ドラえもんの映画版みたいになる時がある。お兄ちゃんはいつも意地悪なのに、映画の時のジャイアンみたいに優しい日もある。そういう時はうれしいな、よかったなと思いますね。
今川 子ども同士が仲良くしてくれているのは一番幸せですよね。
菊池さん こっちがキーッとなったのを察知するのか、突然仲良くなったりします。
今川 謎の展開、たしかにありますよね。
Q3.子育て中、どうやって息抜きしていますか?
今川 続いては、加瀬さん、菊池さんご自身についてお聞かせください。3つ目の質問です。「子どもができると、一人の時間がなかなか持てない、持ちづらいということがあります。リフレッシュや息抜きはどうしていますか?」
菊池さん 基本的に子どもと一緒に過ごしたいんです。夫は「一人の時間どうぞ」「いつでも言ってくれれば子どもをみるよ」と言ってくれるんですけど、私はできれば子どもと何かを一緒にしたいと思うタイプなので、一緒に行ける場所や映画を常に探しています。最近ようやく私も楽しめる映画を一緒に集中して見られるようになってきました。
一方で、一人で楽しむ時の集中力がすごく研ぎ澄まされてきました。例えば、ライブには行けなくても、フェスのような場所には子どもを連れて行きやすい。このバンドだけはどうしてもという時だけ子どもを見てもらって、1曲だけでも聴きます。その1曲に対するこちら側の浸透率が上がっていて、1曲でも泣いて「感動した! もういい」と去ったり。集中力がついたと思います。
今川 菊池さんは銭湯に行かれるのが昔から好きだったとか。
菊池さん スーパー銭湯とか温泉みたいなところですね。子どもも大きいお風呂が好きなので連れて行きます。うちの子どもたちは本当に落ち着きがないので、「走らない、しゃべらない、タオルをお風呂につけない。絶対守れる?」と約束してから行きます。でも、子どもは歩いているつもりでも、動きが速すぎて常連のおばあちゃんに注意されたり…。夫婦とも両親が遠方に住んでいるので、家族以外の大人にしかってもらう場所としてもありがたいです。
今川 自分の好きな場所に子どもたちも連れて行って、社会との接点も得られるんですね。
菊池さん ママ友と一緒に行くこともあります。
今川 大人の目が増えると安心ですよね。加瀬さんは自分の時間ってありますか?
加瀬さん うちは男4人なんで、銭湯に行くと女1人対男5人になるんです。
今川 子どもたちは全員加瀬さんの方に?
加瀬さん 一番下に「お母ちゃんがいいな?」と聞くんですけど、「パパと行く」。僕、いつも子ども4人と一緒なんです。
今川 なかなかくつろげないですね。
加瀬さん 一人になれるのは仕事に行く時です。行き帰りは一人じゃないですか。こないだ出張で鳥取まで行ったんですけど、行く前に妻から「いいね、あんた。自分のことだけしてたらいいんでしょ」と言われました。
今川 逆に奥さんに一人の時間を、と何か心がけていることはありますか?
加瀬さん 最近、妻が2回入院したんですよ。10日間くらい一人で家のことをやったんですが、気が狂いそうになりました。大変さが身にしみて、妻にフリーの時間を過ごしてもらえるように考えてます。
今川 お互いにフリーの時間を持てるようにしたり、菊池さんのようにお子さんを交えて親の好きなことができたりするといいんでしょうね。
後編では、パートナーとの関係や子育てで大切にしていることについて語り合いました。
→ 子育てのモットーは「日々模索」「そのうちなんとかなるだろう」 菊池亜希子さん×加瀬健太郎さんスペシャルトーク(後編)
2部では歌をプレゼント、3部の「子育てトーク」では、子育て中の親が「自分をどう見つめていくか」について語りました。
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