今だから思える。夫から「大変だね」のひと言がほしかった〈東京すくすく5周年 記者座談会・前編〉

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 「東京すくすく」開設5周年に合わせ、この間、反響が大きかった子育てのテーマについて語る記者座談会を開きました。参加したのは、この5年間に生まれた0歳~未就学児の子を育てる記者4人。子育ての悩みから、パートナーとの関係や仕事との両立、保育園とのかかわりまで、体験や向き合い方を語り合いました。【前編】では、出産後のパートナーとの関係や時間の使い方の変化、子育ての喜びと苦労について取り上げます。

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参加者と家族構成、育休の取得状況

A介(40代前半、男性):共働きの妻、小2の長女、3歳の次女。次女の誕生後に1年間の育休を取得。

B香(30代後半、女性):同業の夫、4歳の息子、2歳の娘。連続で育休を約3年取得。10時~16時の時短勤務中。

C奈(30代前半、女性):同業の夫、2歳の娘。約1年間の育休を取得。

D太(30代前半、男性):共働きの妻、0歳7カ月の娘。半年間の育休を取得。

子どもが生まれて働き方はどう変化?

司会 まずは、子どもが生まれてからの変化について教えてください。

19~21時に間に合うように帰るには

A介 長女が生まれて1年後、転勤に伴って仕事中心の生活になりました。働きながら家事育児の大部分を担った妻が体調を崩したことを機に、やっと働き方を根本的に見直すことができました。

 現在は、できるだけ定時に帰宅。18時10分までに席を立てるように心がけています。夕食の準備、食事介助、入浴、着替え、歯磨き…と、子育ての全てが集中する19時~21時あたりに参加するためです。この時間帯にいないと家事育児に乗り遅れるので、ここに間に合うように仕事を組み立てるようになりました。その時間内におさまらない仕事は結局、夜中に原稿を書いたりといったシャドーワークで乗り切っているのが現状です。

 妻は医療・福祉業界で働いており、勤務時間のスタートが自分よりも1時間ほど早い。なので、朝の登園、朝食の片付けなどは自分がやり、お迎え、夕食準備は妻、という分担になることが多いです。

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司会 夫婦ともにフルタイムであっても、勤務時間の1時間のずれを有効に活用しているんですね。時短勤務をしているB香さんはどうですか?

B香 送り迎えは基本、私が担当ですが、朝、夫に時間があるときは4人で保育園まで行きます。子どもが熱を出したときはほぼ私が仕事を早退、休みを取っています。夫は帰宅時間が遅いので、平日のお迎えから寝かしつけまでは、だいたい私が担当しています。

司会 夫婦間の分担はどう決まったのですか?

B香 私が時短勤務で、平日の育児の大半を担うというスタイルは自然と決まりました。30代半ばでの出産だったので、それまでに記者としてさまざまな経験も積ませてもらいました。20代半ばなら違ったかもしれませんが、「今は子どもたちとの時間も大切にしたい」という気持ちが大きかったです。互いの実家が近いので助けにきてもらうこともあります。

夫婦仲が冷え込む「産後クライシス」

C奈 出産前は、事件や事故の発生対応や日々のルーティンワークで日中が終わり、連載などの自分がやりたい記事の執筆・編集は18時~22時くらいに集中して取り組むという働き方をしていました。

 育休復帰して約1年になりますが、以前のような働き方ではお迎えに行けないので17時半くらいには仕事を終えるように。18時以降に子どもの世話をしながらデスクと原稿についてのやりとりをするということもありました。

 新聞記者は発生対応など時間外勤務が求められる仕事ですが、育休復帰後はそういった対応が求められない働き方をさせてもらえたので、育児と仕事の両立がしやすかったです。上司の理解があってのことです。

D太 夜型から朝型に生活リズムが180度変わり、自分の時間はほとんどなくなりました。現在は妻が育休中なので、平日の日中は仕事に集中できています。今までは休日にも仕事のことを考えることが多かったのですが、出産後はひたすら目の前の育児に向き合っている感じ。平日はほぼ妻に育児を任せっきりになっているので、休日にいかに妻に休んでもらえるかが大事だと思う一方で、自分も疲れているのでなかなか妻に休んでもらえずにいます。

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「平日は育休の妻に育児の負担が集中する分、休日は自分が」と思うが…

パートナーとの関係はどう変わった?

司会 パートナーとの協力体制づくりには多くの方が苦労しているようです。出産後、急速に夫婦仲が冷え込む「産後クライシス」を取り上げた記事には、夫と妻、双方からの切実な悩みが寄せられています。みなさんはパートナーとの関係に変化はありましたか? 

2人育児が大変…爆発してしまった

A介 2人目の妊娠が分かったときは、育休取得を即決定しました。子育てという一大プロジェクトが人生に加わったことで、パートナーとの関係が深まったと感じています。

B香 2人目の出産後、想像以上に2人育児が大変で、気持ちが不安定になった時があります。当時は夫の転勤で大阪暮らし。朝、夫が出勤すると取り残されたように感じ、あるとき、ストレスや怒りのコントロールができず、爆発してしまいました。みんなで家にいるとき、壁をドンッ!とたたいてしまいました。子どもの前で…。当時は「自分のしたいことはなにもできない。誰も自分の気持ちを分かってくれない」と感じていました。

 ただ、夫は家事もできるので、料理を作っておいてくれるなど、できる限り助けてくれていたと思います。振り返ってみれば、仕事も大変だっただろうし、それで私が家でイライラしているのも嫌だっただろうなと思います。今だから思えることですが…。

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司会 そうならないためには、夫はどうしたらよかったのでしょうか。

B香 どうしてほしかったのかというと「毎日大変だね」と寄り添い、共感してくれる言葉をかけてくれるだけでよかったです。家事や料理ではなくて、心からのそのひと言がほしかった。ただ、そういうことを言葉にするタイプの人とそうじゃない人がいますし、私も素直に言えないタイプなので、うまくいかなかったんだと思います。

 今は互いの性格を理解し、なんとかバランスを取れるようになってきました。男性の育休も賛成ですが、個人的には普段の生活で早く帰ってきてくれることが一番助かります。うちはそれが難しいので、ほかのお母さんから「夜はパパがお風呂に入れてくれる」と聞くとうらやましかったです。

お互いに1人の時間を確保するには

C奈 うちはまさに産後クライシスでした。けんかを繰り返し、少しずつ家事を夫に配分していった。朝の送りは夫、迎えは自分という流れができましたが、納得しているつもりでも、ちょっと自分が疲れているときなどは、相手のできていないことが目に付きます。朝に、こちらが子どもの対応に追われているときに夫がスマホを見ている姿を見ると「その間にできる家事はあるのに」と思って、イラッとします。

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育児家事の分担は、永遠のテーマ

D太 逆に私は食器の洗い物がシンクに残っているとすぐに洗いたくなる性分で、私が洗った後、妻から「あ、ごめん。ちょっと休憩してからやるつもりだった…」と言われることもしばしば。自分がやり過ぎてしまうことで妻に負担を感じさせてしまっている面があり、加減が難しいです。

司会 親自身の時間や、自己実現についてはどうですか。子どもが生まれると、自分のために使える時間は、どうしても減ってしまいます。3児を育てながら医師を目指し、40歳で医学部に入学した女性を紹介した記事には「自分の時間をつくるのは本当に難しい」「周りの助けがないと不可能だ」との声も届きました。

A介 自分のためだけの時間は貴重、希少です。「お互いに積極的に確保しよう」と夫婦で声を掛け合っています。それこそ、冬山登山の「寝たら死ぬぞ!」の切迫感で。スケジュールを調整して自己研鑽(さん)の、そして子育てから離れる時間を作っています。自分は社外の研究会への参加、個人的に続けている取材など。妻は育休中に書写の教室に通ったり、資格の更新研修を受けたりしています。

B香 子育てに少し余裕がでてきたことと、4月から子どもたちが英語教室に通い始めたこともあり、私もスマホアプリで英語の勉強を始めました。資格取得などもこれからやれたらいいなと思っています。

喜びと苦労 うまくいかないことは?

司会 続いて、子育ての喜びと苦労について教えてください。子育ての喜びを感じる瞬間、悩んでいること、うまくいかないこと、手を上げそうになったことはありますか。

 思い通りにはいかないことが多い子育ての中で、親自身も自分の気持ちと闘っています。すくすく編集チームで自分たちの危うい瞬間について話し合った座談会「誰だって虐待と隣り合わせ『たたいてしまった、怒鳴ってしまった…』」や、子どもに手を上げてしまって自己嫌悪に陥る保護者へ向けて「たたかない子育て」のヒントを紹介した記事は、本当によく読まれています。

 子どもに手を上げてしまった保護者が、後悔とともに検索してこの記事にたどり着き、その経緯とともに「もうしない」という決意を書き込んでいく、ということが公開当時は続きました。今はだいぶ、「子どもに手を上げない」「たたくことは虐待」という考え方が根付いてきたように感じます。

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子どもの「見て見て!」コール。手を止めてじっくり見てあげたいと思いながらも、なかなか難しい…

子どもを「ただ見る」ことが難しい

A介 喜びを感じる瞬間は、できなかったことができるようになったとき。どんなに小さなことでも、というか、むしろ小さなことほど、その変化を逃さずに見つけることができたという喜びがあります。例えば、絵の具の塗り方が前よりも上手になったとか、保育園での出来事がちゃんと話せるようになった、とか。「初めて立った」「初めてしゃべった」という大きな節目ではないことですが、日々発見があります。

 子どもはよく「見て見て」と言いますが、その「ただ見る」ことがいかに難しく、尊いかを思い知りました。子どもとの遊びを通じて自分の子ども時代を思い出したり、幼い自分を親がどう育てていたのか考えたりすることも、豊かだなと思います。

 悩みは、叱り方とタイミング。どんなに教育的な「叱り」にも必ず、その前段で思い通りにいかなかったことの感情の高ぶりという成分が、いくらか混じっています。いま叱っていいのか、この叱り方でいいのか、そもそもそれは「叱り」ではなく「怒り」ではないのか…。

 手を上げたことはないが、「幸いにして」だと思う。夫婦2人でなんとか協力して家事育児ができていますが、手を上げてしまう親の気持ちは分かりますし、自分にも確かに存在します。とっさに大きな声が出てしまうことも課題。話を全然聞いていない、と思うとつい声が大きくなり、子どもが萎縮しているのに気づいては反省…。

子どもを通じて世界が広がりました

B香 私も、子どもが生まれて自分の人生、生活が彩り豊かになったと感じています。すごく小さなことですが、保育園で朝顔の種をもらい、自宅で育てています。「大きくなーれ」と毎日水をやり、花を咲かせると喜んだり。ほかにも道ばたの花をめでたり、植物の名前を教えてあげたり。子どもがいなかったらやっていなかったと思うので(笑)、子どもを通じて世界が広がり、いい経験をさせてもらっているなと感じています。大げさですが…。

 悩んでいることは、夕食が適当になってしまうこと。最近は保育園帰りにコンビニに行くことがブームのようになっていて、子どもたちはおにぎりをチョイス。それにバナナやトマト、みそ汁を加えるだけなど、申し訳ないくらいに適当すぎてなんとかしないといけないと思っています…。夕飯のメニューなどみなさんどうしているのでしょうか。食べないよりいいと思うようにしています。

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朝顔を自宅で育てたり、道ばたの花をめでたり。「子どもが生まれて自分の人生が彩り豊かになった」

C奈 喜びは毎日感じています。2歳半で絶賛言葉の言い間違えの時期。プシューン(スプーン)、どぼろーさん(泥棒さん)とか、たまりません。よく分からない沸点で爆笑する姿とか、笑顔や寝顔を見ると癒やされ、とにかくかわいい。

 プチ悩みが2つあります。ひとつは、寝かせる時間。つい最近まで午後9時には就寝していたのですが、体力がついてきたのか午後10時前後になってきました。2歳児にしては遅すぎると思うのですが、保育園でがっつり2時間昼寝してくることもあり、電気を消しても自分でつけたり、ふざけてパジャマを脱いだりしてなかなか寝ない。その分朝は起きるのがだらだらになり7時過ぎとか…。本人が寝たいと思わなければ仕方ないと思いつつ、早く寝てほしいです。

 もう一つは、自分が猛烈に疲れているときのイヤイヤへの対応。普段なら「そうだね、嫌だよね」と笑顔で見守れるが、猛烈に疲れているときは、普段の対応ができません。今の試練は、お風呂で冷たい水のシャワーで延々と遊ばれること。余裕があるときは、なんとなく誘導して楽しくお風呂に入れるが、疲れているときは、無理やり体を洗われるのは嫌と分かっていても、シャワーを取り上げてさっさと体を洗ってお風呂から出してギャン泣きさせることになり、自分の未熟さを反省しています。

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D太 とにかく、一挙一動が全てかわいく、一緒にいられることが幸せです。特にうれしいのは、泣いている理由の正解を見つけたとき。抱っこしてほしいのか、おなかがすいているのか、眠いのか、それとも何かほかに気に入らないことがあるのか…。いろいろ試してご機嫌になったときは「通じ合えた!」と思えます。

 大変なのは夜中に起きることと、離乳食をなかなか食べないこと。夜中に何度も寝かしつけをしていると、現実なのか夢の中なのかよく分からなくなってきます。翌朝「寝かしつけしてたけど、夢?」と迷うこともしばしば。離乳食は音楽を流して一緒に歌ったり、おもちゃで気をひいたりしてなんとか食べさせています。完食しない日も多く、終わると疲労感が残ります。

 体重の増加もじわじわと効いています。9キロに近づき、抱っこのたびに「重い」と感じます。娘は眠くなると泣き出し、15~30分程度抱っこしながらゆっくり歩き、時々スクワットのような上下の動きを入れないと寝ないので、毎日の寝かしつけは体に大きな負担になっています。実際、夏に首と肩が痛すぎて眠れなくなって整形外科に診てもらったところ、「疲労がたまっている」との診断を受けました。

 座談会の後編では、保育園とのかかわりや、子どもや保護者への対応に疑問に感じたときの園との向き合い方、習い事やコロナ禍での出産・子育ての経験について取り上げます。

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