〈絵本さんぽ〉目白 絵本の家 世界とつながる30カ国4000冊の洋書 言葉の壁を越えて楽しめる
魅力的な絵本の店を記者が訪ね、紹介します。
白い壁に青い窓枠 まるで海外のお店
JR目白駅から学習院大を通り過ぎると、洋書絵本の店「絵本の家」がある。東京メトロ雑司が谷駅に近い目白通り沿い。白い壁に鮮やかな青い窓枠の店構えが特徴的で、海外のお店をほうふつとさせる。
店内の本棚には、英米をはじめフランス、ドイツ、北欧、韓国、中国など約30カ国から仕入れた4000冊以上の原書の絵本や児童書、雑貨が並ぶ。親子連れや、語学を勉強する大人、観光客など幅広い人たちが訪れる。
84年、輸入と卸しの会社として設立
1984年、海外出版社から絵本を輸入し、書店や図書館に卸す会社として設立。当初から携わる小松崎敬子さんは「最初の頃は、海外とのやりとりも大変だった」と振り返る。通信機器が発達していなかった当時、イタリア・ボローニャのブックフェアなどに直接足を運び、海外の出版社と関係を築いてきた。
個人向けの直営店をオープンしたのは2004年。「豊富な原書の絵本を手に取ってもらいたい」との思いを込め、図書館司書や書店員が本を選ぶためのショールームも兼ねた。
いろんなルーツの子どもたちが仲良く
Amazonなどネット通販の普及で同業の多くが店を閉めた。だが「必要としてくれる人たちがいる。スタッフの熱意もあり、とにかく続けてきた」。最近では、ブラジルや東南アジアなどの子が多く住む地域の図書館から「母国語の本を仕入れたい」という要望も増えた。スタッフの上野紋華さんは「いろんなルーツの子どもたちが、一つの絵本をきっかけに仲良くなってくれればうれしい」と話す。
「絵本の良さは、言葉が読めなくても味わえる。国ごとの紙質や色目、文字を見るのも面白い。世界を感じる一つのツールにしてほしい」と小松崎さん。言葉の壁を越え、世界に触れられる貴重なお店だ。
絵本の家
住所:東京都豊島区目白1の7の14 みさとビル
電話:03(3985)3363
定休日なし(年末年始などは休み)、正午~午後5時
小松崎敬子さんおすすめの1冊
◇「ALDO」JOHN BURNINGHAM(邦題は「アルド・わたしだけのひみつのともだち」)
つらいことがあると、いつだってアルドが助けにきてくれる。少女の孤独な心を支える、見えない友だちアルド。
おすすめポイント
友だちの輪に入れなかったり、傷つくことがあったりする女の子の心の中にいる友だちアルド。子どもの寂しさや孤独をよく捉えています。想像の中の友だちが、子どもたちの助けになるかもしれない1冊です。
上野紋華さんおすすめの1冊
◇「Father Christmas」Raymond Briggs(邦題は「さむがりやのサンタ」)
「やれやれ また クリスマスか!」と、ぼやきながらもみんなにプレゼントを届けるために働く、人間味あふれるサンタの一日。
おすすめポイント
日本でも愛されている「さむがりやのサンタ」は幼い頃からずっと好きな1冊です。ぼやきながらも仕事へ行くサンタさん。コマ割りが新鮮で、サンタさんの口が悪いところも面白くて、夢中になりました。出てくる風景も美しく、食べ物もすごくおいしそう! 仕事後に、飼っている犬や猫たちにもプレゼントが贈られて、幸せを感じます。英語版も読みやすく、子どもの頃と変わらずいいなと思える絵本です。
なるほど!
グッときた
もやもや...
もっと
知りたい