僕は、おばあちゃんになりたい〈お父ちゃんやってます!加瀬健太郎〉
先日、スーパーで見知らぬおばあさんが四男に向かって「おじいちゃんとお買い物でいいねぇ」と笑った。おじいちゃんとは僕のことらしい。おばあさんの手前、ゆっくりおじいちゃんぽく歩いた。
僕がほぼ白髪なせいだと思うけど、まだ49歳。「おばあさんには分かりづらいか」と思っていたら、三男の幼稚園の友達に「ケントくんのおじいちゃん?」と聞かれた。僕はショックから、「あたしゃ、おばあちゃんじゃよ」と口走り、友達の顔を引きつらせてしまった。
しかし、まんざら冗談ではない。僕は「おばあちゃんになりたい」と思っている。
例えば、電車やお店で、子どもがぐずってどうしようもない時、迷惑そうな顔や態度で冷たい対応をしてくるのは大体年配の男性。反対に「大変よね」と声をかけて、あたたかい気持ちにしてくれるのは女性、というのが僕の統計上多い気がする。
そういう僕もおばあちゃん達ほど、さらっと社交的に振る舞えない。だけど、そうありたいな、と思っている。「おばあちゃんみたいなおじいちゃん」を目指したい。
朝、三男を幼稚園バスの乗り場までお見送りした帰り道。「何か足りないな」と思っていたら、四男をバス停に忘れてきていた。血の気が引いた。何十年ぶりに必死で走った。
あくる朝、「今日は忘れないぞ」と四男の手を固く握り、無事お見送りから帰宅。ほっとした僕のズボンのチャックは、ずっと全開だったみたいだ。
「年かな?」と冗談半分で妻に聞くと、「元々そういう人だよ」と言われる。
加瀬健太郎(かせ・けんたろう)
写真家。1974年、大阪生まれ。東京の写真スタジオで勤務の後、ロンドンの専門学校で写真を学ぶ。現在は東京を拠点にフリーランスで活動。最新刊は「お父さん、まだだいじょうぶ?日記」(リトルモア)。このほか著書に「スンギ少年のダイエット日記」「お父さん、だいじょうぶ?日記」(同)「ぐうたらとけちとぷー」(偕成社)など。12歳、10歳、6歳、2歳の4兄弟の父。これまでの仕事や作品は公式サイトで紹介している。
なるほど!
グッときた
もやもや...
もっと
知りたい
私も先日料理の失敗が重なり、年かな?と夫にボヤいたところ、同じように返されたので笑いました笑
朝から幸せな記事!ありがとうございます!