5人でお風呂 二郎系ラーメンて、こんな感じだったなあ 〈加瀬健太郎 お父ちゃんやってます!〉
大みそかの夜。三男と四男とお風呂に入る。「ぼくの考えた水中ジャンケンしよう」と三男が言い出した。「手も顔も水につけたままジャンケンし、顔を水から上げ、ジャンケンの勝敗を確認する」というもの。「手間のかかる割に、面白くなさそうだな」と思ったが、参加しないわけにはいかない。
その水中ジャンケンが、意外な盛り上がりをみせていると、長男も風呂に入ってきた。いっちょ前に下の毛を生やしている。「いつまで一緒にお風呂入るねん」と思ったりもするが、うれしくもある。ざっぱーん、と長男が湯船に勢いよく入ると、もうぎっちぎちでお湯も見えない。
「二郎系ラーメンて、こんな感じだったなあ」なんて考えていると、次男までお風呂に入ってきた。「頭洗ってから入れよ」「痛えよ」「おめえが場所とりすぎなんだよ」。ケンカが始まる。「パパ、頭洗うからちょっとどいて」と言われても、誰かと誰かの足やら尻やらが乗っかっていて動けない。
「忍者寿司(すし)」「将軍ジャパニーズ」「カンパイ」「大阪レストラン」…グーグルマップで調べたアラスカに実在するすし屋の店名を連呼する次男。いつかアラスカに移住する際に、どこかの店でアルバイトさせてもらうつもりらしい。この前のクリスマス。次男はサンタに「研ぎ石」をお願いしていた。
無理やり体を折り、重ね、押し込んで、なんでか5人も入っていたうちの小さな湯船。「ぶっ」という僕の屁(へ)で、みんなすっ飛んで出ていくと、お湯は、足首までしか残ってなかった。元旦。妻の実家に着くと、昨夜の長風呂のせいか僕は熱を出した。
加瀬健太郎(かせ・けんたろう)
写真家。1974年、大阪生まれ。東京の写真スタジオで勤務の後、ロンドンの専門学校で写真を学ぶ。現在は東京を拠点にフリーランスで活動。最新刊は「お父さん、まだだいじょうぶ?日記」(リトルモア)。このほか著書に「スンギ少年のダイエット日記」「お父さん、だいじょうぶ?日記」(同)「ぐうたらとけちとぷー」(偕成社)など。14歳、12歳、7歳、4歳の4兄弟の父。これまでの仕事や作品は公式サイトで紹介している。
なるほど!
グッときた
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