〈奥山佳恵さんの子育て日記〉43・次男にダウン症という障がいがあることを、ついつい忘れてしまう理由

(2023年8月9日付 東京新聞朝刊)
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こちらが求めるポーズにもバッチリ対応してくれる次男

奥山佳恵さんの子育て日記

つい忘れて、叱りすぎてしまう

 「そうだった、忘れていた」。次男の小学校の登校サポートから帰宅した夫が言いました。何のことか尋ねたら「今朝のこと。強く叱りすぎてしまった」。

 朝ご飯を食べていた時、気持ちの切り替えが上手にできなかった次男の美良生が、カンシャクを起こしスプーンを力いっぱいかんでしまったのです。確かに夫は次男を「なんでそんなことで怒るんだ、おかしいだろう」と叱っていました。

 帰宅した夫は続けて「忘れていたのは、美良生に障がいがあるっていうこと。つい忘れて叱りすぎてしまう時がある。気持ちの切り替えが不得意な子なのかもしれないのに、理解が足りなかった」と反省を口にしていました。その気持ちは私にもとても分かります。

配慮も忘れてはいけない…反省

 ダウン症があることから現実逃避しているわけではありません。むしろ、次男のことを丸ごと受け入れている。フォローが必要だったり聞き取れない言葉があったりするけれど、意思疎通はもちろん、ある程度のことなら1人でできる。言うこともよく聞いてくれる。進んでお手伝いもしてくれる。誰も教えていないのに、出かける家族に「行ってらっしゃい。楽しんできてね」とステキな声掛けができるのは、家族の中でも次男だけだったりする。

 だから、夫に限らず私も、次男にダウン症という障がいがあることをすっかり忘れて生活してしまっているのです。ありがたいのか、能天気過ぎるのか。

 夫のように、私もよく「どうして何回も言わせるの。今日はそれはできないって100万回言ってるでしょ」と次男を叱ってしまうことがある。教育は必要だけれど、同じくらい配慮も忘れてはいけない。反省です。

次男から学んだ優しいやりとり

 つい先日も先にお風呂から上がった次男が、まだ中に私がいるのに電気を消してしまった時、反射的に「ふざけないでー!」と声を上げました。言った瞬間、「普段から忘れている」ことをよく表している言葉だなと自覚しました。次男のことを配慮が必要な子だと思っていないから、長男にもよく言う「ふざけないでー!」が次男にも言えるんだな、と思ったのです。

 習い事へ行く次男が玄関へ向かった時、次男に倣い私も初めて「楽しんできてね」と告げてみました。「楽しんでくるぞい!」と返す次男。次男発で習得できた優しい会話のやりとり。こんなやりとりがあるおかげでまた、障がいがあることをついつい忘れて生活してしまう私たち家族です。

奥山佳恵(おくやま・よしえ)

 俳優・タレント。2011年に生まれたダウン症の次男を育てる。長男はすでに成人。

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