学童保育「職員常時2人」「1人は有資格者か経験者」でなくても可 基準緩和の法案、衆院委が可決
大野暢子 (2019年4月26日付 東京新聞朝刊)
小学生を放課後に預かる学童保育の運営基準の緩和などを盛り込んだ地方分権一括法案が25日、衆院地方創生特別委員会で、自民、公明などの賛成多数で可決された。現在は常時2人以上の職員を配置し、そのうち最低1人は保育士などの資格か現場経験を持つ人を採用するよう義務づけているが、法案はこの基準を緩和して、強制力のない参考基準にする内容。保育の質が低下するとして、立憲民主、国民民主の両会派は25日、基準緩和の部分を除いた修正案を共同提出したが、反対多数で否決された。
片山地方創生担当相「柔軟な運営が可能になる」
採決前の討論に立った立憲民主党会派の今井雅人氏は「現行の基準は、子どもの安心と安全を守るための最低基準だ。地方分権の枠組みの中で議論するべきものではない」と批判した。
片山さつき地方創生担当相は基準緩和の狙いについて「児童が少ない地域や時間帯でも柔軟な運営が可能になる」と答弁した。
今回の学童保育の運営基準を緩和する児童福祉法改正案は、健康増進法改正案や建設業法改正案などを含む地方分権一括法案として国会に提出された。一括法案は計13法案で構成。野党側は、児童福祉法改正案は子育て世帯の生活に大きな影響があるとして、一括法案から外して、個別に審議するよう求めていた。
専門家「子どもの目線に立っていない」と批判
職員や保護者でつくる全国学童保育連絡協議会によると、3月末現在、11道県と36市町の議会が、基準堅持や職員の処遇改善などを求める意見書を可決している。
学童保育に詳しい増山均(ましやまひとし)・早稲田大名誉教授は「異なる年齢の児童たちが安心して過ごすには、専門性の高い複数の職員が必要だ。基準緩和は児童の目線に立っていない」と批判した。
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