わが子にLGBT打ち明けられたら…? 当事者が保護者向け講座「味方になってほしい」
3日間の講座「自分のこととして体感してもらう」
3日間、計12時間の講座は、当事者の不安や孤独感を理解し、心の支えとなるのを目指す。LGBTの基礎知識以外にも、「朝起きたら体が男子になった」女子中学生の生活を想像しながら意見を交わすグループワーク、セクシュアリティー(性のあり方)の多様性を学べるゲームなどもある。鶴岡さんは「参加者に自分のこととして体感してもらうのが特徴」と話す。
鶴岡さんは元教師。幼少期から女性であることに違和感があり、恋愛対象も女性だった。周囲に言い出せなかった自身の体験を踏まえ、「今悩んでいる子どもの相談相手となれる大人が必要」との思いから、ことし3月に設立した任意団体「レインボーかたつむり協会」で講座を始めた。
授業で学ぶ機会が少ないことも鶴岡さんの背中を押した。文部科学省は2015年以降、教職員への通知などで、LGBTの児童生徒に対する配慮や対応を求めている。しかし17年3月に「『性的マイノリティ』について指導内容として扱うことは難しい」との見解を示していた。
親や周囲に言えず「死にたい」と思い詰める子も
当事者団体や研究者によると、多くの当事者は思春期前後に性別違和や同性愛に気付くが、拒絶を恐れ、親や周囲に言えないことが分かっている。鶴岡さんは「偏見に傷つき、成長に伴う体の変化に戸惑い、『死にたい』と思い詰める子もいる。保護者が正しい知識を伝え、子どもの味方になってほしい」と話す。
3日間の本講座(12万9600円)のほか、体験講座(3240円)もある。簡単なジェンダーバイアス(性差による偏見)チェックを行い、LGBTの基礎知識を75分で学べる。両講座とも次回は来月、東京・新宿で開催予定。レインボーかたつむり協会のホームページから申し込む。
性の多様性を学べるカードゲーム 子どもの「第一歩」に
講座では、鶴岡さんが考案したカードゲームでセクシュアリティーの多様性を学ぶ。「子どもに分かりやすくLGBTについて伝えることができる」と好評だ。
選んだ「ベースカード」に示されたセクシュアリティーとアイテムのカードをそろえる速さを競う。絵合わせ感覚で小さい子どもでも楽しめる。遊びながら「ゲイ」「レズビアン」などの単語を自然と口に出せる仕掛けになっている。
ベースカードには、セクシュアリティーとして「からだ」「アイデンティティー(性自認)」「パートナー(恋愛対象)」が男女のイラストで示され、トランクスやブラジャーなど好みを示すアイテムが描かれている。必要なカードをそろえた人から「体は女性、アイデンティティーは男性のトランスジェンダーです」などと内容を説明する。鶴岡さんは「どんな違いも個性と認め合える社会にしたい」と話す。
東京都内で3月下旬に開かれた講座でカードゲームを体験した、さいたま市の獣医師(45)は「セクシュアリティーの種類を子どもたちに知ってもらう第一歩にちょうどいい」と話した。
1セット2600円。オンラインストアで販売している。
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