「子どもの貧困」…中学生に英和辞典を贈ろう 中野区社協の呼び掛けで寄付54万円
松尾博史 (2020年2月5日付 東京新聞朝刊)
学習教材を買う余裕のない家庭の中学生らに英和辞典を贈ろうと、中野区社会福祉協議会が寄付を募ったところ、目標を大幅に上回る約54万円が集まった。事務局次長の秋元健策さん(57)は「取り組みを通じて、多くの人が『誰かの役に立ちたい。社会に貢献したい』と考えていることが分かった。本当にありがたい」と感謝している。
「辞書を持っていない子どもがいる」
中野区内では30以上の市民団体などが、学習塾に通うことが難しい小中学生らへの学習指導や、子ども食堂の運営に携わっている。団体のメンバーから「辞書を持っていない子どもがいる」「高校進学には英語の勉強が必要」といった声が寄せられ、社協が中心となって寄付を募り、英和辞典を贈ることを企画した。
電子辞書の利用も増えているが、贈るのは紙の英和辞典。「ページをめくるときにさまざまな英単語に触れることで、英語や言葉への関心をいっそう高めてもらえたら」と考えた。「子どもたちへの励ましになり、学習意欲がいっそう高まれば」という思いから、新品を贈る。
約1カ月で寄付97件 目標額クリア
英和辞典を必要とする人数を調べ、約80冊分の購入費として30万円を目標とし、12月中旬から寄付を呼び掛けたところ、1月末までに区内を中心に個人・団体から97件、計約54万円の寄付が寄せられた。「亡くなった母の遺産の一部を、地域のために使ってほしい」と申し出る人もいた。
多くの寄付が寄せられたため、社協はあらためて各団体に、英和辞典を必要としている子が他にもいないか照会する。お金が余った場合は、経済的に恵まれない子どもたちを支援する事業に充てる予定。秋元さんは「これからも『子どもの貧困』の解決に取り組んでいきたい」と話している。
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