映画「女性の休日」50館に拡大しロングラン ジェンダー意識の高まり…日本で「待っていた人がいたのでは」

映画「女性の休日」の一場面。1975年10月24日、アイスランドの首都レイキャビクの広場に集まった大勢の女性たち=写真は、いずれも ©2024 Other Noises and Krumma Films.
アイスランドの歴史的1日から50年
男女平等の実現を目指し、アイスランドの全女性の90%が仕事や家事を一斉に休んだ1975年10月24日を振り返るドキュメンタリー映画「女性の休日」の上映がロングランとなっている。背景にはジェンダー意識の高まりに加え、女性の存在の大きさを1日で実証した歴史的出来事への関心があるようだ。
「日本に持ってきてくれてありがとう」
低賃金に苦しみ、あらゆる家事を背負わされていた当時のアイスランドの女性たちが、男性から偏見の目で見られ、差別される社会を変えるべく連帯して運動を起こす。女性が1日でも休めば社会が回らなくなることを示すため事実上のストライキを実施。ジェンダー平等の国へと進むきっかけとなる。映画は、その軌跡を当事者の証言や当時の映像で伝える。
「キノローグ」のブランド名で映画を配給するフリーランスの森下詩子さんが2024年に映画を見て、2025年が歴史的な1日から50周年に当たることもあり、日本での配給権を取得。2025年10月25日から東京・渋谷のシアター・イメージフォーラムや名古屋市のナゴヤキネマ・ノイなど5館で公開したところ50館以上に拡大した。今も各地で上映が続き、3月にアンコール上映も控える。
森下さんは「この映画を日本に持ってきてくれてありがとうと、よく声を掛けられる。私以上に待っていた人がいたのではないか」と話す。感触では、観客は最も多いのがシニアの女性。男性は2割、年齢層は幅広く20代の姿もあるという。
米国人監督には「驚くべき事」だった
ドキュメンタリーに詳しい映画評論家の村山匡一郎さんは「女性がいないと社会が成り立たない。それが、たった1日ではっきりした」と話し、その衝撃や驚きが観客を集めた要因の一つとみる。作品の完成度は「1975年以前の女性を取り巻く社会状況や、当日に向けた準備過程、その後の出来事を当事者にきちんと聞いている。社会が変わってきたのがよく分かる」と語り、当事者が健在なうちに話を聞いたのも「よかったのでは」と評価する。

映画「女性の休日」の一場面。証言者の1人として登場するグズルン・エルレンズドッティルさん(弁護士、アイスランド女性初の最高裁判所長官)
監督の米国人パメラ・ホーガンさんがこの出来事を偶然知って映画化した。北欧の人々にすれば、ジェンダー格差解消の行動は当然であり、アイスランドの人たちも映画になるとは思ってもみなかったようだが、外国人のホーガン監督の目には驚くべき事として映ったと森下さんは説明する。ドキュメンタリー映画になるのは初めてとみられる。
独やオーストリアも公開、米国はまだ
森下さんの話では、日本のほかドイツやオーストリアなどで配給されたという。監督は米国人だが、多様性推進を否定するトランプ政権下の米国では配給されていないといい「残念」だと話す。
村山さんによると、映画の作品の中にジェンダーの問題が出てくるのは、ちょうど「女性の休日」が起きた1970年代半ばあたりから。鉱山のストライキを取り上げ、その中に女性の力強さが感じられるドキュメンタリー「アメリカ合衆国ハーラン郡」(1976年)など、今でいうフェミニズムやジェンダーを描く映画の先駆的なものが登場し始めたという。

映画「女性の休日の」一場面。証言者の1人として登場するヴィグディス・フィンボガドッティルさん(女性初のアイスランド大統領)
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