厳しかった両親のことなどについて話す浮所飛貴さん（内山田正夫撮影）

嵐ファンの母の影響でジャニーズへ

　うちは5人家族で、僕が3人きょうだいの1番上。両親も弟も妹もみんなポジティブで話し好きなので、家の中はいつも騒がしいです。犬も4匹飼っているので、常にワチャワチャしている感じ。動くのが「9匹」もいれば、落ち着くわけがないですよね。

　僕のジャニーズ入りは、母の影響が大きいです。母は、はっきりとものを言う性格で家では結構厳しいのですが、昔から嵐さんの大ファンで、僕の友達の母と一緒にライブへ行くのが趣味。僕もよく一緒に連れて行ってくれて、2009年の東京・国立競技場での10周年記念ライブ「5×10」も客席にいました。

　嵐さんは今ももちろん輝いていますが、当時はブームを巻き起こし、世界を日本をどんどん巻き込んでいた時期。席は後ろの方でしたし、幼かったので記憶はうっすらですが、5人のメンバーがワイヤで飛んでいる姿には憧れました。だから、実際に僕がジャニーズのオーディションを受けるとなった時、母は大喜びでした。

父が「どうせ受からない」…なぜ？

　ただ、父の反応はあまり良くなかったんです。僕はウキウキして話しているのに、いつも底抜けに優しい父は、この時だけ「そんなにうまくはいかないよ」「どうせ受からない」と厳しめの反応でした。つい最近、2人になった時に話の中で思い切って理由を聞いてみたら、落ちた時に落ち込まないよう、あえて厳しくふるまっていたそうです。

　父は会社員ですが、仕事はかなり不規則で、日付が変わるまで帰ってこないこともよくある職場。社会の厳しさを肌で感じているからこそ、冷たくあしらうことで教えようとしていた。息子から見てもめちゃくちゃイケメンな父なのですが、その優しさを後で知り、改めてかっこいいなと思いました。

　ありがたいことに、先輩や現場のスタッフの方とかに、よく「年の割にしっかりしている」と言ってもらえます。朝が早い時に起こしてくれたり、帰りが遅い日に母が夜食も作ってくれたり。優しく、時に厳しく育ててくれた父母に感謝ですね。

恩返し　いつかドームでコンサート

　ドラマを撮っていたりすると帰宅が遅くなりがちです。妹や弟は寝ちゃっていて、最近あまり話せてないのですが、昨年の20歳の誕生日には家族からサプライズでお祝いしてもらいました。その日も仕事で帰宅は深夜。家の明かりは消えていたんですが、入ったら電気がパッとついて、みんなが待ち構えていたんです。母と妹はチョコケーキも作ってくれていました。うれしくて泣きそうになりました。

　元気に仕事を続けられるのは家族の支えのおかげ。いつか広い会場、東京ドームとかでのコンサートを開き、連れて行ってあげて、恩返ししたいと思っています。

浮所飛貴（うきしょ・ひだか）　

　2002年、愛知県生まれ。ジャニーズJr.内のユニット「美 少年」のメンバーとして、バラエティー番組やテレビドラマで活躍。8月12日からフジテレビ系で放送される東海テレビ×WOWOW共同制作連続ドラマ「ギフテッド Season1」では、殺人犯を見抜く特殊な能力で、天才刑事とともに事件解決に挑む高校生を演じる。