都営地下鉄の運転士に合格したよ! 【都営交通×東京すくすく 夏休みわくわくこどもキャンペーン】

 東京新聞の子育てウェブメディア「東京すくすく」と東京都交通局による体験イベント「夏休みわくわくこどもキャンペーン」が8月6日、東京都交通局研修所(江東区)で開かれました。小学生の男女20人が「こども記者」として、地下鉄の運転操作を体験し、安全に運行するための心得を取材しました。
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研修所を取材したこども記者と先生たち

運転士が訓練する研修所に潜入

 研修所は、運転士を目指す人が免許証を取るために訓練する場所です。まずは研修所で先生役を務める矢作公伸さんから、運転の仕方の説明を受けました。「マスコンハンドル」というハンドルを両手で持ち、ハンドルについている「デッドマン」というスイッチを握らないと電車は動かないそうです。運転中は、握り続けます。

 「途中でくしゃみをしたらどうするんですか?」と心配するお母さんもいましたが、「そんなに力を入れなくても握りやすいので、手を離すことはない」そうです。運転士が急病で万が一倒れてしまってハンドルから手を離すと、電車が自動で止まる仕組みになっています。

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新宿線の運転席で「しゅっぱつしんこう!」と声を上げるこども記者

運転中は「意外と忙しかった」

 続いてお待ちかねのシミュレーターで運転体験へ。使われる車両は、都営新宿線の10-300形(いちまんさんびゃくがた)です。運転士の帽子をかぶり、ドキドキした様子のこども記者たち。ハンドルを両手でぎゅっと握り「あいずかくにん、しゅっぱつしんこう!」と言ってから、ハンドルを倒します。目の前のモニターでは、車体がトンネルの中をぐんぐん進みます。

 「トンネルの中だから人はいないように見えるけど、時には作業している人もいるから前を見たり、速度計を確認したり、運転中は目をキョロキョロさせているんだよ」と先生役の遠藤徳保さんが教えてくれました。次第に視界が明るくなり駅が見えてきたら、ブレーキを1回、また1回と切り替え、徐々に速度を落とします。この時、「ブレーキを作動してください」などの合図はなく、訓練を積んだ運転士の勘で作動させるそうです。

 小学1年生のこども記者は、「意外とすぐに駅がくる!」と、忙しそうにブレーキを操作していました。

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真剣な表情でドアの開閉をチェックする

 新宿線の次は、三田線の運転席へ。ここでは、ドアの開閉を体験します。ドアを閉める合図のメロディーを流すボタンを押してから、ドアを閉めます。モニター上でドアが閉まる様子を確認し、人や物が挟まっていないかチェック。安全が確認できたら、出発ボタンを2つ同時に押します。ボタンを2つにすることで、他のボタンと間違えないよう意識を働かせる意図があるそうです。

アナウンスもドキドキしながら体験

 最後はアナウンス体験です。普段は自動音声で流れていますが、状況に応じて車掌さんがマイクで話します。

 「都営浅草線をご利用いただきまして、ありがとうございます。次は浅草~浅草です。お出口は右側です、開くドアにご注意ください」。みんな本物の車掌さんのように案内していました。

 小学4年生のこども記者は、大江戸線がお気に入りだそうで、大江戸線にアレンジしてアナウンス。「大江戸線は他の線と違って、丸い形をしているのがかわいい」と好きなポイントを教えてくれました。

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車内アナウンスも体験できた

※研修所では右側のドアが開くためそうアナウンスしていますが、実際の浅草駅で開くドアは左側です。

本物の運転士になるためには

 座学では、矢作さんからどうすれば都営地下鉄の運転士さんになれるのかを学びました。まず、交通局の入局試験を受け、駅員さんとして2年働きます。ホームに立って、安全を確認している人が駅員さんです。その後、試験に合格すると車掌さんになれます。「車掌さんのお仕事って何?」と矢作さんが聞くと、小学2年生のこども記者が素早く手を挙げました。「アナウンス!」「ドアの開け閉め!」。先ほど体験したことが、しっかり身についていますね。

 車掌さんとして2年働き、試験に合格すると、研修所での勉強が始まります。4カ月かけて分厚い教科書に書かれている内容を覚え、次の4カ月で見習い運転士として、実際にお客様を乗せた電車で先輩運転士から運転技術を学びます。

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分からないことはしっかりと質問していた

 すっかり運転士に詳しくなったところで、この日取材し、ニュースだと思ったことを低学年は絵日記に、高学年は壁新聞にまとめます。あまりにたくさんの新情報があったので、最初は手が止まるこども記者もいました。「何を一番人に伝えたいかな」と声を掛けると、取材メモを見返し、伝えたいテーマを決められているようでした。

 運転士になるには、試験を受けられるようになるまでの4年も合わせて合計で4年8カ月もの長い時間がかかることに驚いたこども記者が多く、「運転士になるには4年8カ月!」「安全運転のために」などと壁新聞の見出しに書いていました。独自の視点で「地上と地下の電車の違い」をテーマにしている記者もいました。

 最後に、実技と座学を終えたこども記者たちに、竹内宏幸・研修所長から「修了証書」と「運転士免許証」が授与されました。おめでとうございます!

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竹内宏幸・研修所長から修了証書が授与された

取材のアドバイスを終えて

都営交通の現場に潜入するこども記者体験は今年で4年目ですが、今回取材させてもらった研修所は初公開でした。本物のような運転席にこども記者たちは大興奮! 「楽しい!」だけで終わらず、みんなしっかり取材して、自分なりのニュースをつかんでいました。私が思い付かないような視点で記事を書いているこども記者もいて「知識を持った上で取材すると、こんなに記事は面白くなるんだ」と教えてもらいました。

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