FC東京を小中学生14人が密着取材、インタビューや会見も 選手と監督の思いを新聞に【こども記者が行く!FC東京編】
DAY1 FC東京小平グランド:練習編
FC東京の強さを知るため、まずは練習を取材しました。こども記者は4日朝、東京都小平市の小平グランドに集合しました。この日は日差しが強く、ピッチ脇も暑かったですが、凍ったペットボトルや保冷剤で暑さをしのぎながらの取材です。ウオーミングアップの後には、試合形式の練習も見ることができました。間近で選手たちがゴールを決めたり、体をぶつけ合ったりする様子は迫力満点です。
こども記者はサッカーをやっている子も多く、プロの練習から学びを得ようと熱心に見学していました。小学4年の加藤傑さんは「当たり前のようにボールが浮いてすごい。キック力も強い」と感動。小学6年の小山新太さんは「チーム全員が常に声を出し、盛り上がっているおかげで、すごく仲が良いのだと思った」と話しました。
こども記者は大きな望遠レンズをのぞき込み、選手たちの写真を撮る体験もしました。小山さんは「カメラは重かったけど、選手の動きがしっかり撮れた」と言いました。
いよいよ選手と対面!「緊張する~」
練習後は室内に移動し、選手への「囲み取材」です。こども記者はあこがれの選手を待ち「緊張する~」とドキドキわくわくですが、東京中日スポーツの松岡祐司記者が先生役として、取材をリードしました。中学1年の白井咲さんは「食生活で気をつけていることや、試合を見るときに注目するところを聞きたい」と教えてくれました。
取材に応じてくれたのは、ピーター クラモフスキー監督と長友佑都、森重真人、ディエゴ オリヴェイラ、徳元悠平、波多野豪、岡哲平、小泉慶、安斎颯馬の8選手、飯野一徳、遠藤洋両通訳です。14人のこども記者は3チームに分かれて取材しました。
(※徳元選手はこども記者イベント終了後の8月15日に、名古屋グランパスに期限付き移籍することが発表されました。)
森重選手に聞く「キャプテンとは?」
キャプテンの森重選手には、こども記者が「僕もキャプテンをやっています」と自己紹介し、チームのまとめ方を聞きました。森重選手は「キャプテンは全体を見ないといけない。いま、チームがどういう状況なのか、チームメートで落ち込んでいる人がいないか。そういうことを見ながら、声をかけてあげることが大事かな」とアドバイスしました。
ディエゴ選手には「バスケをしている」というこども記者が「緊張したときにはどうすればいいですか」と質問。「みんなも試合をするときに勝ちたい気持ちがあるから緊張するんだと思う。緊張をほぐすために、例えば家族と電話で話したり、音楽を聴いてリラックスしたりしています」と話しました。
徳元選手の思い「FC東京は一つの船」
徳元選手には「FC東京に所属していて、一番意識していることは何ですか」と聞きました。徳元選手は「全選手がこのクラブの顔。一つの船にみんなが乗っているという意識で、子どもであったり、いろんな方に見本となるような行動をしています」と語りました。
小泉選手には「初対面の人とコミュニケーションを取るにはどうしたら良いですか」と質問。小泉選手は「やっぱり人として、礼儀正しく、あいさつは大事だと思う」と答えました。さらに、子どもたちに「友だちの倍のトレーニング、倍の勉強をすることが、友だちとの差をつけるチャンスになると思うので、頑張ってください」とエールを送りました。
長友選手の好きな動物は?もちろん…
長友選手は「好きな動物はなんですか?」という質問に、「ゴリラです」と即答。その理由を「ゴリラみたいな顔してるから。(背番号の)5番をつけたのもゴリラの5っていうことで」と明かし、こども記者を和ませました。
岡選手には「サッカー選手になるとき大変だったことは何ですか?」と質問。岡選手は「同じポジションの人と競争したことです。人よりもたくさん練習して、頑張って、ポジションを勝ち取ることが大事でした」と答えました。
スタメンになった時のうれしさって?
「スタメンになったらどれくらいうれしいですか?」という質問を、複数の選手にぶつけたこども記者も。長友選手は「ガッツポーズですよ。でも見られると恥ずかしいから、心の中でよし、やってやるぞ!ってガッツポーズしてます」。波多野選手は「僕はみんなぐらいのときからFC東京の選手として活躍したいって思っていたので、もう、死んでもいいくらいうれしいです」。
安斎選手は「1試合で人生が変わることもある。だから、人生を懸ける思いで臨んでいます」。それぞれの個性があふれる回答を引き出しました。
クラモフスキー監督と通訳にも取材!
クラモフスキー監督には「選手たちにどのような言葉を掛けていますか」と聞きました。監督は「選手たちが最大限の力を出せるように、力を与えられる言葉、元気になれる言葉、自信を与えられる言葉掛けをしています」と話しました。
遠藤通訳は「アメリカやイギリス、監督の出身のオーストラリアなど、英語を話す国はいっぱいあります。だから英語を勉強しておくと、いろいろな国の人とコミュニケーションを取れるようになります」と話しました。飯野通訳は「選手が日本に馴染むことも必要。私たちの仕事は、サッカーの通訳と、グラウンド外の生活の通訳もあります」と語りました。
こども記者は選手たちの言葉にうなずきながら、熱心にメモを取っていました。
取材の成果を新聞に…さあ見出しは?
取材の成果は、壁新聞にまとめました。取材ノートを見返して、印象に残った言葉を確認。「リードって何ですか」「見出しはどうつけたら良いですか」と記者の私にも積極的に聞いてくれました。同じ選手に取材しても、注目した点は違うようで、それぞれの新聞に子どもたちの個性が出ていました。
小学4年の石田周都さんは「最高のフットボーラーになるには」という見出しで新聞を作りました。クラモフスキー監督の「強度の高い練習をして、自分たちの最高のサッカーができるようにしています」との言葉が印象に残ったそうです。
小学4年の田代百々花さんは、安斎選手の「お米を200グラム食べる」という話に注目しました。「200グラムは多いなと思った。選手に取材できる機会はなかなかないのでうれしかった」と目を輝かせました。
4日は新聞の見出しや本文をできるところまで進めました。11日に味の素スタジアムで行われる試合を観戦し、編集後記を書いて完成させる予定です。事前に取材したことで、11日の試合もより興味を持って臨めそうです。EURO SPORTSから観戦グッズの提供もあり、子どもたちは大喜び。「11日の試合では、選手の動きや監督の声出しに注目したい」「タオルを振り回して応援したい」と楽しみにしていました。
DAY2 味の素スタジアム:試合編
続いてこども記者は11日夜、味の素スタジアム(調布市)で開かれた試合を取材しました。川崎フロンターレとの試合です。関係者入り口近くに集合したこども記者たちは、ウエアやタオルなど観戦グッズを身に付け、準備万全です。
スタッフから「試合を取材して記事を書く記者と同じ場所で観戦するため、静かにふるまうこと」「記者席では写真を撮ってはいけないこと」などの説明を受けました。真剣に聞く姿はプロの記者のように緊張感がありました。
そしてメインスタンドの記者席に移動。選手たちのウォーミングアップから真剣に見守りました。試合中は、迫力のあるプレーに沸きつつ、メモを取りながら熱心に観戦していました。小学3年の喜多すみれさんは「いつもより近くて、選手の情熱が伝わってくる」と興奮していました。
試合後の会見 監督も観察力に感心
FC東京は前半に2点、後半に1点入れられ、0-3で負けてしまいました。こども記者たちは会見場の後ろの席に座り、両監督がプロの記者たちの質問に答える様子を見守りました。終了後、こども記者は前に移動し、クラモフスキー監督に質問します。
小学6年の野島健太郎さんは後半に入ってFC東京の動きが良くなったのはなぜか、と質問。監督は「観察力がありますね。その通りです。前半は川崎がいい形で終わらせたので後半、われわれはもっとアグレッシブに、ハードワークが必要だと伝えました。(その結果)何度かチャンスをつくることができましたし、決めきれていたら勝利できていました」と説明しました。
うまくいかないことがあっても…
そして監督は「フットボールでも人生でも同じですが、だれでもうまくいかないことがあります。一番大事なことは、そこからどう立ち直っていくかです。うまくいかないことや嫌なことがあっても、頭を前向きに切り替え、その次に集中する。そうすれば夢に到達できます。自分を信じてください」。
最後にクラモフスキー監督はこども記者たちに「Be positive and enjoy!(前向きに、楽しんで)」という言葉を残して会見場を出ました。こども記者たちは拍手で感謝の気持ちを伝えました。
2日間のプログラムを終え中学1年の赤羽和華子さんは「緊張したけれど、とても良かった。記者さんの質問はサッカーの細かいところを見ているんだなと思った」と話しました。
取材後記
4日を担当した小寺です。子どもたちは、多くの質問を考え、積極的に手を挙げて質問してくれました。好奇心旺盛な皆さんの姿は刺激になりました。私は記事を書くために子どもたちに取材しましたが、皆さん自身も自分の思いを丁寧に答えてくれました。
取材には「記者」として、緊張感を持って臨んでいた子どもたちですが、選手との写真撮影は一転し、うれしそうな笑顔が印象的でした。暑い中、お疲れさまでした。
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