〈絵本さんぽ〉蔵前 Frobergue 昭和レトロなビルの古書店 こだわりのおしゃれな店内で海外のビンテージ絵本の世界に浸って

魅力的な絵本の店を記者が訪ね、紹介します。

「Frobergue」の外観=いずれも東京都台東区で
築70年のビルをリノベーション
東京の下町風情に加え、おしゃれなカフェや店が並び新しい風を感じる街・蔵前。都営地下鉄の蔵前駅から徒歩5分。タイルが特徴的で昭和レトロを感じさせるビルの1階に古書店「Frobergue(フローベルグ)」がある。

グリーンに塗装された壁と奥にはウィリアム・モリスの壁紙

店主の中村啓太さん
店頭のショーケースや木箱に本が並び、店に入ると、グリーンに塗装された美しい壁にウィリアム・モリスの壁紙、アンティークの本棚が出迎える。「築70年の古いビルですが、リノベーションされたこの物件が気に入りました」と店主の中村啓太さん。

店先にも木箱に雑誌や本が並べられる

椅子の上に乗った引き出しの中には絵本のジャンクペーパーも
今年で10周年 21年蔵前に移転
2015年に横浜で開店、2021年に蔵前に移転して、今年で10周年。店名の「フローベルグ」は、バロック期の作曲家ヨハン・ヤーコプ・フローベルガーから。「フローベルガーは語尾をフランス語風の『フローベルグ』とサインしていたと言われていて、そこから着想しました」


本棚にはさまざまな国の絵本が並ぶ
蔵書は地下の倉庫を含め、約3000冊。チェコを中心とした東欧などで買い付けをしており、米国、ドイツ、フランス、英国、スウェーデンなどの19世紀~現代の絵本が中心。アートや文芸などの古書も幅広く扱い、一部新刊もある。買い取りも行う。
重厚感あるこだわりの大きな本棚
店を象徴する大きな本棚は、19世紀英国のカントリーハウスのもの。内装を手がけたアンティークショップがオークションで落札した。「もともとアンティークが好き」と店では17世紀の家具も大事に使われている。管楽器をほうふつとさせる天井の電線管にもこだわった。「金属加工をやっている作家さんに頼んだオーダーメードです」

19世紀イギリスのカントリーハウスの本棚。海外の洋書絵本がずらり

木箱が置かれた椅子はアンティークのシアターチェア
元々書店員で子どもの頃から本が好き。クリスマスにはお気に入りの児童文学のシリーズを全巻贈られるなど、本に囲まれて育った。2児の父で毎晩子どもたちに読み聞かせもする。最近は「この本面白いよ」と子どもから絵本を手渡されることもあるそう。
店内では絵本作家やイラストレーターの原画展示も行う。企画は絵本作家でもあるスタッフが担当。さまざまな年代、国の珍しい絵本と巡り合えるこだわりのお店へ出かけてみて。

絵本作家さんの原画が展示されている
Frobergue
住所:東京都台東区蔵前4-14-11-101
電話:03(5829)3793
正午~午後6時。水曜定休(火曜日不定休)
中村啓太さんのおすすめの絵本
◇「ちょうちょ ちょうちょ」(偕成社)きくちちき

花から花へひらひらと舞うちょうちょは、身近な生きものの中でも、幼い子どもたちの興味をひきつける存在。「ちょうちょ ちょうちょ どこから きたの?」「ちょうちょ ちょうちょ なにしているの?」素朴な問いかけから、ちょうちょの魅力を詩情豊かに描く。
おすすめのポイント
きくちちきさんは、画家でもあります。ファインアートの人だと描いたもののタブロウを作るのですが、絵本作家でもあるので最終的な作品の完成図が本という形になっているんです。
ちきさんは、特色印刷書き分け版で描きます。特色を5色くらい使っていて、最終的に本の形を意識して、作品を作られている。しかも、それがちゃんと美しいんです。このように絵本を、実現されているのは本当にすごいと思います。見ていて、嬉しい気持ちというか、ハッピーな気持ちにもなります。また、お話もよくて、この絵本もそうですが、喜びに溢れています。
なるほど!
グッときた
もやもや...
もっと
知りたい










