〈絵本さんぽ〉鎌倉 SONG BOOK cafe 歌と絵本のカフェでほっとひと息「子どもの歌も次世代に受け継がれる」
魅力的な絵本の店を記者が訪ね、紹介します。

「SONG BOOK cafe」の外観=いずれも神奈川県鎌倉市で
海風がよく似合う絵本カフェ
江ノ島電鉄由比ケ浜駅(神奈川県鎌倉市)から海を背に5分ほど歩くと、由比ケ浜大通り沿いに、白い壁と赤い扉がポップで愛らしいお店「SONG BOOK cafe(ソングブックカフェ)」が見えてくる。海風にもよく似合う青と白のストライプの日よけが爽やかだ。
日本初の男性保育士として知られる絵本作家・音楽家の中川ひろたかさんがオーナーで、妻のいつこさんが店主を務める。店内には大きなテーブルがあり、絵本を読みながら、コーヒーや紅茶、こだわりのおいしいスイーツも楽しめる。

人気料理家なかしましほさんのバナナシフォンケーキ。ふわふわで濃厚

甘酒ソフトもなかしましほさんのオリジナル。甘さ控えめで暑い夏にもピッタリ!
蔵書は約1000冊。ひろたかさんが手がけた作品をはじめ、国内外の作家の本が本棚にずらりと並ぶ。「私の好きなものを選書しています」といつこさんは話す。

国内外の絵本がずらり
来年で20年 海外からの観光客も
2006年にオープンし、来年で20周年。店を始めたきっかけは、ひろたかさんの著書や資料の保管倉庫を探していたことから。「ギャラリーにもなって、コーヒーが飲める場所だったら楽しいね、と話していたんです」といつこさん。「息子が物件を見つけてくれ、ここなら絵本カフェができると思いました」

中川ひろたかさんが手がけた作品なども並ぶ。壁には絵本作家が描いた絵が飾られている
店には、赤ちゃんや子どもを連れた家族、読み聞かせや保育の仕事をしている人たちも訪れ、カフェで一息ついたり、絵本を読んだりする姿が見られる。鎌倉という土地柄、海外からの観光客も多い。絵本をお土産に買っていく人もいるという。
近隣在住の絵本作家もふらりと

店主の中川いつこさん
いつこさんは大学卒業後、玩具会社や学童保育など、子どもと関わる仕事に携わってきた。訪れる人たちと絵本や子育て、保育にまつわる話に花が咲く。居心地のよい店の雰囲気や、いつこさんの優しい笑顔に癒やされ、客たちは明るい表情で店を後にする。長野ヒデ子さん、ささめやゆきさんなど近隣在住の絵本作家が立ち寄ることも。「ふらっとやってきて、お茶していってくれるんです」

ひろたかさんの音楽が店内でも流れる
店内では、ひろたかさんの作った歌も流れる。「にじ」や「世界中のこどもたちが」などは、30代半ばの筆者も子どもの頃に歌った懐かしい曲ばかりだ。「子どもの歌も、絵本と一緒で次世代に受け継がれているんです」。絵本と歌のカフェで、お気に入りの1冊を見つけてみて。
SONG BOOK cafe
住所:神奈川県鎌倉市笹目町6の6 大栄ビル1階
電話:0467(25)0359
午前11時~午後5時。火、水曜定休
中川いつこさんおすすめの絵本
◇「ナガノさん まっちゃアイスの巻」(アリス館)作・中川ひろたか 絵・長谷川義史
絵本作家・長野ヒデ子さんをモデルにした創作絵本。なおちゃんに抹茶アイスを一口もらったら、美味しくて全部食べてしまったナガノさん。 なおちゃんに抹茶アイスを買うため、アイスクリーム屋さんを追いかけると、大勢の人がついてきて…。
おすすめのポイント
長野ヒデ子さんの楽しい人柄がそのまま出ている絵本です。何かピンチがあっても助けてくれる人がいることを教えてくれます。元気で面白い長野さんのような人を、私も目指したいなぁと思っています。
◇「ペロのおしごと」(小学館)樋勝朋巳
犬のペロは飼い主の“おかあさん”が大好き。おかあさんへのプレゼントを買うため、お仕事を探しに出かける。だけど、何をやってもうまくいかない。不器用なペロはどうするのか…。
おすすめのポイント
何とも言えないこの絵が可愛くて、大好きです。樋勝さんの絵本には、変わったキャラクターが必ず登場します。大好きなお母さんへの思いや、ペロに関わる人たちがとってもやさしいんです。ラストもよくて、お気に入りの1冊です。
なるほど!
グッときた
もやもや...
もっと
知りたい