中学受験の父親の関わり方は? 共働きでも母親に偏りがち… 経験者が語る役割分担のカタチ

受験期を迎えた子どもへの父親としての接し方について語り合うオンラインイベント
教える教科を分ける、メンタルと送迎…
「塾のクラスの昇降が毎月ある。子どもが一喜一憂せずに長い目線を持てるように接した」。10月下旬、「わが子の中学受験どうする? 父親の関わり方」と題したイベントで、父親の1人が振り返る。
体験談を披露した父親は、東京都内に住む広告業界や通信業界の会社員など40代3人。いずれも共働き家庭で、仕事の合間に勉強を見たり、塾の送迎をしたりなど、夫婦で調整しながら受験期を乗り切った。
3人は「子どもに教える教科を夫婦で分けた」「妻は勉強を教え、自分はメンタル面と送迎担当」などそれぞれの工夫を紹介。子どもとの接し方では「テスト後に『どうだった?』と尋ねない」「自分が教えられない問題は、割り切って塾に任せた」「志望校の学園祭に連れていき、モチベーションを保たせた」など実践的なことも語られた。
イベントには30~50代を中心に137人が参加し、父母の割合はほぼ半々。「どこも受からなかった場合を考えた?」「塾選びの基準は」「受験塾の補習塾は活用した?」など質問も相次ぎ、受験期の親共通の不安が浮かび上がった。
昔とは違う…競争が激化、内容も高度に
背景には昨今の事情の変化がある。イベントに登壇した受験戦略家の長谷川智也さんは「『意識の高い家庭の優秀な子』が中学受験するとされた昔と違い、今は普通の家庭の子もする。少子化でも競争率は上がっている」と激化を説明。受験勉強の内容も高度になり「入試の問題文が長文化し、読解力や思考力が問われるようになった。暗記中心の詰め込みでは乗り切れない」と、夫婦間で役割分担をして子どもを支える必要性を強調した。
イベントを企画した転職サービス会社「XTalent(クロスタレント)」(東京都港区)によると、共働きが一般化し、父親も育児に関わるようになった一方、受験の関わりは母親に偏りがちだという。
担当者は「受験期は働き方を柔軟にしたいという声も、父母ともに増えている。受験は今や家族で取り組むものに変化した。受験に関わりたい父親は少なくない」と指摘。父親が関わり方や悩みを話す場を設けるとともに、受験期の子がいる父親の柔軟な働き方について考える必要性があるとみる。
「そもそも中受が必要か」見極めも大切
元小学校教諭で教育評論家の親野智可等(おやのちから)さんは、両親が受験に関わる意義を「2人の親の価値観や視点があれば、子どもを多面的に見られ、強みもつかみやすい。情報を集め、戦略を練るのも2人のほうがいい。家族で受験に向き合うことが、子どものモチベーションになることもある」と語る。
1人が成績や学習進度を見守り、もう1人は大局的な視点で接するなど分担も効果的。一方、普段は仕事を理由に関わらない親が、「勉強は?」「成績どう?」という声かけだけをするのは逆効果という。
ただ、親野さんはそもそも中学受験が必要かの見極めも大切だと指摘する。「『やらないと負け』という空気に流されがちだが、子どもの発達状況次第で、向き不向きがある。高校受験のほうがむしろ力を出せる子もいる。子どもの状態を踏まえ、なぜ受験するのかに立ち返って考えてほしい」
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