洗濯機に赤ちゃんを置かないで!ほんの一瞬で落下事故、5年で78件 寝返りできなくても脚の屈伸で…
事故は「生後6カ月以下の乳児」に集中
センターの一室に置かれたドラム式洗濯機は高さ1メートルほど。上部には、頭の重さや身長などを乳児に似せた人形が寝かせられていた。人形に結んだ糸を、センターの職員が引いて寝返りの動きを再現すると、人形は頭から落下。「ゴン」と鈍い音がした。
センターと消費者庁が共同で、2020年4月~2025年10月の約5年半の間に起きた事故情報を一部の医療機関から集めたところ、入浴、沐浴に伴う乳児の落下事故が78件あった。
ドラム式、縦型を含めた洗濯機からの転落は14件(18%)で、浴槽のふたからの転落18件(23%)に次いで多かった。骨折や頭蓋内損傷といった重傷に至った12件に絞ると、洗濯機からの転落は5件で約4割を占めた。縦型は上部のふたに傾斜のあるものが多く、子どもがずり落ちる危険がある。

事故は生後6カ月以下の乳児に集中。一般的にはまだ寝返りせず、比較的動かないと思われがちな生後3カ月以下の乳児が被害に遭うケースもあった。
「着替えさせやすい」「脱衣所が狭い」
ほんの一瞬で事故が起きている。2024年3月、生後1カ月の男児と入浴しようとした保護者が男児を縦型洗濯機の上に寝かせ、浴室のシャワーを出そうと離れた間に男児が落下。同9月には、別の保護者が浴槽のふたを開けようと、洗濯機の上に寝かせた生後3カ月の女児から目を離した隙に女児が落ちた。2人はいずれも頭を強く打ち、入院した。
今回の調査とは別に、国民生活センターは2025年9月、インターネットで「入浴・沐浴に伴い乳児が落下、または落下しそうになった経験者」515人にアンケートを実施。ここでも落下した、または落下しそうになった場所は、バウンサーなど子ども用品の31%に次いで洗濯機が15%と多かった。高さのある場所に寝かせた理由は「着替えさせやすい」29%、「浴室や脱衣所が狭い」27%の順だった。
センターの担当者によると、経験者約500人を集めるには2万人を対象にする必要があると想定していたが、約8000人に聞いた時点で集まった。「思ったより経験者がいる」と驚いたという。
頭蓋骨の薄い乳児 頭部損傷のリスク大
国民生活センターによると、頭部損傷の衝撃度を示す基準にHIC(Head Injury Criterion、頭部損傷基準値)がある。値が大きいほど衝撃は大きく、損傷の可能性も高まる。1000に達すると、致命的な頭部損傷が生じる確率が0%ではなくなり、頭蓋骨骨折や意識喪失を伴う顔の骨折など中程度の頭部損傷が90%程度の確率で生じるとされる。

1歳児が落下した場合のHIC値のグラフでは、洗濯機の高さを1メートルとすると、コンクリート、フローリングはもちろん、フローリングに厚さ12ミリメートルのクッションマットを敷いた床でもHICは1000を超える。
1歳未満の乳児は頭蓋骨が薄く、リスクはより高まるという。
防止策「タオルを敷いて床に寝かせる」
子どもの事故の予防を目指すNPO法人「セーフ・キッズ・ジャパン」(東京)顧問で小児科医の山中龍宏さん(78)=写真=は「洗濯機から落ちる事故は以前からよくあった」と話す。「特に子育てが初めてという人は、こうした落下が起きるとはなかなか想像しないのではないか」と国民生活センターの注意喚起を評価する。

子どもが寝返りできると分かっていれば保護者も警戒するが、普段の様子から「まだ動かない」と判断し、上に寝かせることがあるとみる。「寝返りできなくても、脚の屈伸を繰り返すと体全体が移動してしまう。台の端から頭が出れば、頭の重さで落ちてしまう」
落下事故には、ベビーバスを載せた浴槽のふたがずれてベビーバスごと子どもが落ちるケースもあるが、この場合高さは低い。山中さんは「一番の問題は1メートルの高さ。テーブルの上に寝かせても同じく危険」と強調する。首が据わらず、骨格も十分にできていない子どもが落ちれば大けがをする。防止策として「床は汚いと思うかもしれないが、タオルを敷いたり、かごを置いたりして、そこに寝かせてください」と話す。
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