「パパって、おっさん?」甘んじて受け入れよう〈加瀬健太郎 お父ちゃんやってます!〉


ずいぶん春っぽくなってきた。それなのに、うちにはまだクリスマスツリーが飾ってある。ツリーと端午の節句の兜(かぶと)の同時展示だけは避けたい。
なんとかしなくては、と思っている。しかし今のところは「観葉植物」というジャンルにしておこう。そんなある日の次男と四男。
四男「ママって、おくさんでしょ?」
次男「そうや」
四男「じゃあさ、パパって、おっさん?」
次男「まあ、間違ってはないけど」
確かに間違っていない。最近では、自分でおっさんだなと思うことが多い。

例えば。
寝癖のまま登校していた長男も、近頃では、ドライヤーできれいにセットして行く。自分用の整髪料も買ってきた。
「ムースか?」と聞くと、今では「フォーム」というらしい。
手に出してみると「ムース」だった。
ややこしい。
長男は服にも気を使い出して、「デニム買って」と言われた。「ジーパン」でも「ジーンズ」でもなく、素材名になっていた。

鎌倉幕府の成立は、いい国(1192年)ではなく、いい箱(1185年)になっていたし、三男に教えた平泳ぎの方法は、スイミングスクールの先生に、手の使い方が「古い」と指摘された。
自分の常識は、ことごとく古かった。もうおっさんだ。少年野球で「球をたたきつけろ」とダウンスイングを教わったのに、大谷選手は、アッパースイングでホームランを量産している。お手上げだ。
このまま、おっさんを甘んじて受け入れよう。ふと台所を見ると、妻がスクワットしながら野菜を切っていた。
腰を上下させ、包丁も上下させ。危ないし、効率も悪そうだ。しかし、何かにあらがうその姿勢が、とてもすばらしいと思った。
加瀬健太郎(かせ・けんたろう)

写真家。1974年、大阪生まれ。東京の写真スタジオで勤務の後、ロンドンの専門学校で写真を学ぶ。現在は東京を拠点にフリーランスで活動。最新刊は「お父さん、まだだいじょうぶ?日記」(リトルモア)。このほか著書に「スンギ少年のダイエット日記」「お父さん、だいじょうぶ?日記」(同)「ぐうたらとけちとぷー」(偕成社)など。15歳、13歳、8歳、5歳の4兄弟の父。これまでの仕事や作品は公式サイトで紹介している。
なるほど!
グッときた
もやもや...
もっと
知りたい










