パンサー 向井慧さん 「あなたはあなた」が口癖の父 バラエティー番組をずっと見ていても叱られなかった

名古屋の両親の思い出を話すお笑いトリオ「パンサー」の向井慧さん(五十嵐文人撮影)

各界で活躍する著名人が家族との思い出深いエピーソードを語るコーナーです
闘病中の母ともっと会えばよかった
父親は名古屋市立大名誉教授ですが、すでに退官しています。賢くて優しい人。僕ら子どもに対し、別の人間なので「自分は自分」「あなたはあなた」という意識が強く、口癖でした。僕や姉は必要以上に「こうしなさい」と言われなかったです。
僕は、小学生のころからお笑いが好きで芸人になるのが夢でした。バラエティー番組の「めちゃ×2イケてるッ!」や「ボキャブラ天国」に夢中でした。「ナインティナイン」の岡村隆史さんや「ネプチューン」さんらが面白く格好良くて。人を感動させられる華やかな世界に魅了されました。中学生になると、学校から帰宅後は録画したバラエティー番組をよく見ました。
そんな生活でも父親に叱られることはなかったです。ただ、高校3年のころ、卒業後は東京のNSC(吉本興業の芸人養成所)に入りたいと言うと、「大学に行くなら」と条件が出されました。僕の将来を心配したのかもしれません。でも、僕がテレビ番組に出て売れ始めても、父親は「あなたの人生だから」という冷静な受け止め方でした。
一方で、専業主婦だった母親は、僕が出演するテレビ番組を録画したり、雑誌を買ったり。明るくおせっかいな性格でファンのようでした。約10年前にがんで亡くなったのですが、闘病中も病室で、動画サイトで僕の生配信をパソコンで見ていたそうです。当時、忙しくて会う機会は限られていましたが、思えば、もっと一緒に過ごしたかったですね。
父から「40代で不惑は無理」とエール
そう感じたこともあり、退官後に母といろんな場所に行くはずだった父親に、旅行をプレゼントしています。昨年は2人で熱海(静岡県)に行きました。照れくさかったですが、これまで自由にできた感謝の気持ちが伝わればと思って。そういえば、父親の本のあとがきに「長男慧の仕事に正面から向き合う姿勢から励まされる齢(よわい)となった。本書を(姉の)佑子と慧にささげたい」と書かれていて。互いに別の人間と言われつつも、僕を気にかけてくれていたと感じてうれしかったです。
僕が昨年12月に40歳の誕生日を迎えたときには「今は100年時代。40代で不惑は無理です。60ぐらいまでいろんなことに迷うと思います。迷った時は、困難と思われる方を選ぶのが正解に近いと思います」などと長いメッセージを送ってくれました。確かにそうです。僕はテレビ番組の司会などMCが向いている一方、MCに何か振られて瞬発的に自分の魅力を出すのが得意じゃない。自分の体力面も踏まえて、今後どんな仕事をするのか悩みます。
僕はお笑いで何か救われると感じる人がいると信じています。家族には自分がこの世界で頑張っていると思ってもらえるよう、テレビやラジオなど目に触れられるところに出続けたいと思います。
向井慧(むかい・さとし)
1985年、名古屋市生まれ。尾形貴弘さん、菅良太郎さんと2008年にお笑いトリオ「パンサー」を結成し、ツッコミを担当する。TBS系テレビ番組「王様のブランチ」に出演。TBSラジオ「パンサー向井の#ふらっと」やNHKラジオ「又吉・児玉・向井のあとは寝るだけの時間」、CBCラジオ「#むかいの喋(しゃべ)り方」などでも活躍している。
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