あなたの子育てエピソードをマンガにしませんか? つらい出来事も物語化して心をケア 作成サービス「Nicomic」開発者の思い

「Nicomic」で制作したマンガを紹介する原田利沙子さん=東京都内で
同じ苦しさを抱く親に寄り添いたい
「育休に入ってすぐの時は本当に誰ともしゃべらなかった。この鬱憤(うっぷん)をどうしたらいいんだろうと思っていました」。育児マンガのサービス「Nicomic(ニコミック)」を展開する「SANTAM(サンタム)」(東京)社長の原田利沙子さん(34)は振り返る。
2020年に長女を出産。夫の転勤のため地縁のなかった金沢市で育休期間の前半を過ごし、一人で長女に向き合う毎日が続いた。朝から晩まで長女の泣き声を聞きながら、そばに居続ける日々。「すごく苦しくて(自分自身が)壊れそうだった」
事業化に至ったのは、第2子の出産を経て勤務先の日用品メーカーに戻ったときのこと。社内であった新規事業コンテストを機に、同じ思いを抱く親に寄り添うサービスができないかと考え、会社を立ち上げた。
柔らかくデフォルメできるのが利点
サービスの特長は、育児で大変だったり、つらかったりした出来事を面白おかしく捉え直す点にある。例えば、子連れママ同士でランチに行く直前に子どものおむつ替えが必要になって慌てたというエピソード。マンガでは、落ち込む母親の傍らで子どもは楽しそうに過ごしている。「活字や写真と違って柔らかくデフォルメできるのがマンガの利点」と原田さんは言う。
制作工程は手軽さを追求した。利用者はLINEでニコミックを友だち登録し、そこに自身の体験談を打ち込む。スタッフが人工知能(AI)も活用して物語化し、その内容を基に漫画家が6コマほどの作品を描くという流れ。キャンペーンの割引を使えば1回1800円になる。
利用者14人にアンケートして分析したところ、このサービスが育児ストレスの軽減や子どもへの愛着向上に一定の有効性があることも分かった。原田さんは「子どもとの思い出づくりにもなり、結果として親自身の心のケアもできる」と話す。
産後は年間3万組の夫婦に不調リスク
産後は精神的に落ち込みやすい時期だ。国立成育医療研究センター(東京)が2020年に発表した研究成果では、産後1年間に夫婦が同時期に精神的な不調に陥る恐れがある世帯は3.4%と推定された。当時の数字で年間約3万組の夫婦に不調リスクがある計算だった。
この研究にも携わった同センター政策科学研究部の竹原健二部長によると、育児のストレスは「出産前の生活に比べてタスクが圧倒的に増え、各個人のキャパシティーを超えること」で感じやすくなる。夫のみが育休から職場に復帰して忙しくなり、育児とのバランスがとれずに不調を来すケースも。経済的な不安や、子どもの障害や先天性の疾患もリスク要因になり得る。
その上で、心の安定を保ちながら子育てをするためには「どうしたら両親ともに幸せになれるかを定期的に話し合い、夫婦間で納得することが大事だ」と指摘する。「手と目をかけた分だけ子どもは反応してくれる。これは子育て中しか経験できないぜいたくな時間。長い目で見ながらその感覚を持てると良い」
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