心理カウンセラーの山脇由貴子さん

「Ａさんの方から変えようとしていかないと」

Ａさん　何かもう大人に問題がある、この家は。
福祉司　そう思ってるんだ。

Ａさん　うん。だってもう何か大人の中の勝手なイメージで孤立化させてくるし。
福祉司　居心地が悪い感じがする？

Ａさん　うん悪い。
福祉司　それはずっと変わってないんだ。

Ａさん　うん。大人は何か周りと関わらせないようにしてくるから、自分が関わる人がもういないし。小学生とかと遊んでても遊ばせてくれないし。
福祉司　ふーん。ちょっと寂しいね。

Ａさん　もう寂しいとかじゃない。そんなのもう通り越してる。私が愛児の家のことを言ってもどうにもなんないんですか？
福祉司　うーん。

Ａさん　児童相談所がどっかに訴えるとか。
福祉司　Ａさんの心の負担を少しでも軽くするためには、例えば児童相談所には心理司っていう人がいるでしょ？　心理司さんに聞いてもらったりするっていうのも手だけどね。Ａさんの気持ちを軽くしていく方法の一つかもしれないね。

Ａさん　それって自分の気持ちが軽くなるだけで、結局は何にもならないじゃないですか。
福祉司　でもＡさんが例えば気持ちが軽くなって、周りの人への対応が変わったら、（施設の）担当職員も対応が違ってくるかもしれない。

Ａさん　違う。この家がおかしいんですよ。
福祉司　この家が良くなるようにしたいと思ってるんでしょ？

Ａさん　違う。なんかもう本当に訴えたい。マジで。ここまできたら。精神的に虐待を受けてる。そういうの何て言うんでしたっけ？
福祉司　モラルハラスメント？

Ａさん　違う。何かちゃんとした名称があるんですよ。精神的虐待。
福祉司　心理的虐待とか言うよね。

Ａさん　うん。それを受けてるから。だから愛児の家の行事も一切参加しないし。参加してもアウェーな感じだし。
福祉司　今でもそうなの？　行事は出てない？

Ａさん　出ない。
福祉司　そっか。でもさ、それＡさんの方から変えようとしていかないと変わんないかもよ？　例えば行事にはちゃんと参加してみるとか。

調査を求めたが…「児童相談所にそんな権限はない」

Ａさん　ここの家に調査入るとかできないんですか？
福祉司　そこまで、そんなに思ってるんだ。

Ａさん　うん、思ってる。本当に、本当に嫌だ。
福祉司　児童相談所はね、そんな権限はないので、愛児の家をどうたらこうたらするとかね、具体的にはできないとは思います。そこまではね。

Ａさん　気分で八つ当たりしてきたりする人いるんですよ。大人で。
福祉司　んー。

Ａさん　もう何か急に不機嫌になって当たってきて、みたいな。

施設に直接言えないから訴えているのに

Ａさん　嫌なことがあるなら直接言えばいいって言うけど、そんなことできる環境じゃないんですよ、この家は。その人に言ったとしたら、応接室呼ばれて、上の人が出てきて、また3対1とかで責められて、「だったら施設替えれば？」って言われて終わるの。いつものパターンなんです。
（略）
福祉司　でも納得してないんだったらね、やっぱり話し合わないとだめだと思うし、職員さんとね。めんどくさくてもさ。

Ａさん　めんどくさいとかじゃない。そうできない。したくても。

「高校出るためには居場所は安定してないと」

福祉司　高校はちゃんと出たいでしょ？
Ａさん　それは出る。
福祉司　そのためにはやっぱり居場所は安定してないと。例えば施設を変わるにしてもさ、前にも言ってたけどさ、一時保護所に行かなきゃいけないでしょ。

Ａさん　うんうん。
福祉司　その間は行けないんですよ、学校。一番やばいのは、週に1日とかいう保健体育とか1番危なくて。

Ａさん　そう、それ。そこが一番問題。だから「出てけば？」って言われた時に出ていけないんですよ。
福祉司　8回ぐらい休んじゃうともう進級できなくなるもんね。

Ａさん　うん、そうそう、そこ。しかも大学とか目指してたらなおさら無理、難しくなりますよね？
（略）
福祉司　とにかく大学に行くためには高校出ないといけないからね。頑張ってね、やっぱり高校は出ないとだめだ。その辺はもうわかってんだもんね？