家が「苦しい場所」な子どもたち、SOSを出して コロナ外出自粛でDV・虐待の懸念 「ゆずりは」が緊急メッセージ
井上幸一 (2020年4月21日付 東京新聞朝刊)
新型コロナウイルスの感染拡大で外出自粛が求められている中、児童養護施設などの退所者のアフターケア相談所「ゆずりは」(東京都国分寺市)の高橋亜美所長(46)が、ゆずりはのホームページで緊急メッセージを発信した。DV、虐待などで家が「苦しい場所」である子どもたちに、自粛ムードで声が上げづらくても、信頼できる大人に「苦しいと伝えて」と訴えている。
居場所失った被害児童、「息つぎ」できない状態
2011年に開設されたゆずりはは、社会福祉法人が運営する。施設を出た子どもたちの学習、就労を支援し、病気、けが、予期せぬ妊娠などの相談を受けている。
13日にアップされたメッセージでは、DV、虐待などを受けている子どもたちは、家以外の居場所が閉鎖されると、「息つぎ」ができない状態になると指摘する。さらに、コロナの社会的危機の前では、どんなに苦しくても、「今はとにかく我慢しなければ」と思ってしまうとした。
あなたが安心できる大人に「助けて」と伝えよう
高橋さんは、こうした子どもたちに「助けての声を、押しつぶさないで」「あなたの安心と命を守りたい大人が必ずいるよ」と伝え、「あなたが安心できるひとに伝えてほしい」と呼び掛けた。
具体的な大人の例として、友達、先生、近所の人、ピアノの先生、卒園した幼稚園や保育園の先生、友達のお母さんを挙げている。
コロナ以上の不安と恐怖「声なき声を消さないで」
メッセージを発した理由について、高橋さんは「コロナに不安に思うのは、当然だ。ただ、それ以上の不安や恐怖にさらされている子がいる。家が地獄のような子がいる。家にいたら、ずっと何も食べられない子がいる。私たちは平時にそういう相談に乗ってきた。その声なき声が、かき消されてしまうことを危惧する」と話している。
コロナ禍の外出自粛に関しては、DV、虐待被害の増加が懸念されるとして、都内の社会福祉士(36)が今月、約3万人のオンライン署名を集めて、暴力の被害者らへの住居支援策を求める要望書を都に提出している。
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