歌う交通指導員がCDリリース ドライバーになじられても子どもを守る、埼玉の「春日道夫」
寺本康弘 (2021年4月18日付 東京新聞朝刊)
交通指導員として長年、児童の登校を見守ってきた埼玉県杉戸町の会社経営中川定雄さん(69)が、活動に対する思いを自ら作詞し、歌ってCDにした。4年前に「春日道夫」の名前で歌手デビューした中川さんは「全国の指導員の応援歌になれば」と思いを込める。
キャリア23年 きょうも通学路に立つ
「ピッ、ピーー」
指導員をイメージした笛の音を合図に始まる歌のタイトルは、ずばり「交通指導員讃歌(さんか)」(キングレコード)。誰もが歌いやすい昭和歌謡の曲調になっている。
♪かわいい笑顔が みたいから 春夏秋冬 笛を吹く
歌詞では子どもたちのことを「児童」と書いて「たから」と読ませる。「本当に子どもたちはかわいい」と笑う中川さん。前任の指導員から代わりを頼まれて23年。地元の小学校の通学路に毎日、立ってきた。「おはよう」とあいさつしてくれる子どもたちの笑顔がエネルギーだ。
♪かわいい児童(たから) 守るなら…
時に思いもよらない場面に遭遇することもある。子どもたちが横断歩道をわたる際、手を挙げて車に止まってもらうが、全員がわたり終える前に「早く行かせろ」とドライバーからなじられたことも。そんな時の気持ちも歌詞にした。
♪かわいい児童(たから) 守るなら 何のそしりも かまわない
カラオケが大好きな中川さん。指導員の歌はないかと探したが見つからず、自分で作ろうと思い立った。作曲はプロに依頼した。指導員として日々活動する仲間は全国にいる。「歌が激励や気持ちの鼓舞につながれば」と話す。
歌いやすい曲だが、コロナ禍で指導員同士でカラオケに行くのは難しい。1人でも歌えるように、CDには歌のないカラオケバージョンも収めた。全4曲で1300円。売り上げの一部は、交通遺児を支援するために寄付するつもりだ。購入と問い合わせは、中川さん=電話070(1676)5454=へ。
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