22年連続全国1位!袖ケ浦市が調べ学習コンクールで断トツ 理由は独自の「読書教育」
山本哲正 (2022年5月6日付 東京新聞朝刊)
「図書館を使った調べる学習コンクール」(公益財団法人図書館振興財団主催)で、千葉県袖ケ浦市の子どもたちの活躍が全国の中でも飛び抜けている。2021年度は、日本各地に伝わる「桃太郎」を読み比べ、最高賞に輝いた昭和中3年の倉持よつばさんをはじめ、優秀賞以上の上位入賞者は計6人もいた。自治体別の上位入賞者数では、袖ケ浦市は22年連続で全国1位となっている。
考える力・表現力・想像力が身につく
目覚ましい活躍のきっかけは、袖ケ浦市が1991年の市制施行時に重点施策とした「読書教育」。学校図書館の資料を充実させ、各校に読書指導員の配置を進めていった。2000年度には調べる学習コンクールの市内版を導入。徐々に全国版の入賞者が増えていき、ここ5年間は60~90人台で推移している。
そこに息づいているのは、人を育む読書という営みへの信念だ。市がまとめた「子ども読書活動推進計画」は、「自主的な読書活動を通して、言葉を学び、感性を磨き、自分自身で考える力や表現力、想像力が身につく」との基本理念を掲げる。
本の森の妖精「トショロ」を紹介役に
1992年には市立図書館のイメージキャラクターを公募し、本の森の妖精「トショロ」を誕生させた。お薦め図書の紹介役になるなど、幼児から本に親しめる環境づくりに一役買っている。
毎年、「こどもの読書週間」(4月23日~5月12日)前後には記念行事を開催。今年は、図書を借りたり、「おはなし会」などのイベントに参加したりすると、トショログッズがもらえるスタンプラリーを企画した。
調べた内容と自分の考えを分けて書く
子どもたちの調べ学習に欠かせないのが大人のサポートだ。倉持さんも、コロナ禍の移動しづらい中、図書館の司書らに市外や県外の図書館から本を取り寄せてもらったり、まとめ方を丁寧に教わったりしたという。
袖ケ浦市の担当者は「調べ学習のこつは、調べたことと、自分の考えや感想を分けて書くこと。最初の動機や疑問を最後まで持ち、まとめること。優れた作品は、テーマが絞られ、自分の言葉で書かれている部分が多い」と話す。
2021年度の全国コンクール入賞者は68組。倉持さんを除く上位入賞者は次の皆さん(敬称略、学年は当時)
- 子どもと大人の部 観光庁長官賞 安武拓海(蔵波小3)匡紀(父)
- 小学生の部 中学年「2030生物多様性枠組実現日本会議」賞 滝口瑛士(昭和小4)
- 同 優秀賞 小茶健悟(同小4)
- 小学生の部 低学年優秀賞 鈴木克磨(平岡小幽谷分校1)
- 中学生の部 同 村田理紗(昭和中1)
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